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特集

インタビュー2012-06-26

バンクーバーで活躍する女性にフォーカス!
海外で働く様々な業種の女性たちが人生、ビジネスの秘訣をあなたに届ける ~第一回~

 第一回目にご紹介する女性はバンクーバーで美容院を4店舗経営する Misako’s Hair Studioの吉川美砂子さん。27歳でカナダに移民、一従業員から経営者になり、結婚、離婚を体験、乳がんを乗り越え、現在もフロントを走り続けるビジネスウーマン。

 キャリアを築くまでの道のりは…。

Misako's Hair Studio

吉川美砂子さん


1950年、兵庫県宝塚市生まれ。大阪の阪神理容専門学校を卒業後、大阪の美容院に勤務。更に大きなチャンスを掴むために1971年に上京。田園調布の美容院でナンバー1スタイリストとなり、マネージャーも務める。1977年、国際事業団のプログラムでカナダに移民。1980年に自身の店を持って以来、現在はバンクーバー中心地、郊外に計4店舗の美容院を展開している。

手に職を!と願う親の言葉が美容師となるきっかけに

 男兄弟の中で育った美砂子さん。父親も兄弟も電気工事を請け負う技術職だ。娘にも「手に職を持たせたい」と願う父親が「お前は美容師になれ」と言ったことがきっかけとなり美容師を目指す道を歩むこととなった。

 ただそれだけでなく、その道にはその後すぐ、彼女のもう一つの夢もプラスされた。大の動物好きの美砂子さんは、新聞で自然や動物の写真と共に掲載されていたカナダの旅行案内をみて「私は美容師になって、カナダで働く!」と、心に固く決めた。
そんなカナダへの憧れが頭にインプットされたのは中学3年生のとき。幼くして非凡な精神を宿していたといえるだろう。

負けず嫌いと向上心が次の道を切り拓く

 専門学校を卒業後、地元の美容院で働き始めたが、スタッフの中に「東京帰り」というだけで給与が自分より優遇されている同僚がいることを知り、それなら、「辞めて、東京へ行きます」と上京。

 「負けず嫌いなのは昔から」と笑いながら話す美砂子さんだが、負けないためには努力が必要なのは当たり前。人一倍、働き、学んだ。そして東京の店でも売上げナンバー1に輝き、数々の美容院からヘッドハンティングされた。

 多くのアシスタントを抱え、一人前となって最後にマネージャーとして働いた美容院でも、カットコンテストには自ら積極的に参加、常に最先端のスタイルを研究し続け、腕に磨きをかけた。

 「皆を引っ張っていくためには自分が向上しなくてはいけない。引っ張っていく力は言葉ではない、あの人のようになりたいと思わせる姿なのでは」

 美砂子さんの向上心には天井がなく、まだ叶えられていないもう一つの夢も育てていた。どんなに忙しくても週1回の英会話レッスンを受け、友人が見つけてくれた国際事業団のプログラムに応募、研修後にバンクーバーに移民した。

 女性が働き続けることさえ珍しかった当時、働き、資金をため、たった一人でカナダへ行くという憧れを実現したのだ。

カナダの美容院に驚愕…
逃げ出すより立ち向かう道へ

 「美容師になってカナダに行く!」という夢は果たした。国が同じなら、どの地方に引っ越しても手に職さえあれば生きていかれただろうと思うが、海外の地、文化も言葉も習慣も違う場所で自身の店を持つまでの道のりは平坦ではなかった。驚き、学習、挫折、決断を繰り返す日々だった。

 移民してすぐに働いた日系美容院はまるで「お礼奉公」をさせるような、古い体質の店だった。これまでお客様重視のサービスとスタイリストとしての技術で認められてきた美砂子さんには肌が合うわけもなく、数ヶ月でその店を去った。その後は日本人の友人3人とデンマンストリートに美容院をオープン。6年半後にリースが切れるまで北米のサロン技術はもちろん海外経験もマスターし、顧客を増やし続けた。しかし、同時に共同経営の厳しさも学んだ。3人が同じだけの売上げに貢献することはない。「パートナーシップを組むことは難しい。ビジネス経営を分担し、金銭面でも調和を保つことは簡単なことではない」。

 バンクーバーでも一人前のスタイリストとして大きな自信を得た美砂子さんは当時、ダウンタウンでも有名な大型店に転職。日本での徹底したサービスを習得し、売上げナンバー1とトップに登りつめ、更にはカナダ人の顧客も多くつける実力はここでも大いに発揮された。美砂子さんを指名するお客は20分に一人と増え続け、休憩もお昼も間々ならない中、とにかく働きつづけた。

 そんな時、オーナーから経営不振のため店舗経営を引継いでもらいたいと打診され、引き受けた。だが、その経営不振の問題は根深かった。美砂子さんが顧客を増やすにつれ、嫉妬による嫌がらせや、物を隠す、シャンプーなどの備品を盗む、チップをごまかす、などといった行為は日常的に繰り返された。理不尽なことだらけだった。働く地元スタッフの効率とサービスの悪さが経営不振を招いていたのだった。

 この経験から自身の追求する徹底したサロンサービスを提供するためにはそれを理解し、実力のある日本人スタッフが必要との認識に至った。このため、店をクローズして自身が1から作るMisako’s Hair Studioの一号店をオープンさせることとなった。

 これまでの15年の間にビジネス経験も積んだ。友人の紹介で出会ったカナダ人の男性とも結婚した。そして3年半で離婚も経験した。仕事で夫より稼ぐ美砂子さんは結婚生活でも精一杯、こちらで初めてできた夫の家族も支えた。でも、価値観の違いは離婚以外の選択肢は考えられなかった。動物をこよなく愛す美砂子さんは、特に「犬を取るか僕を取るか」と聞かれたときは「I give you an answer, I take a dog.」と即決し、離婚を決断。

  「人生 ビジネスも幾度となく即決に判断しなければいけないことが起こります。 その時離婚を決意したからこそ今があると確信します。別れてよかったと思っている」と振り返る。

 現在も3匹の犬(Todd, Cash, Jack)と暮らしている。3匹とも元の飼い主が手放してしまった「わけ有りの子たち」だが美砂子さんは決して見捨てない。「犬からはいっぱい癒しをもらっていて、大事な家族なんです」。自宅の家庭菜園と家族に囲まれた美砂子さんはおそらく仕事をしているときには見せない、とびきりの笑顔を見せてくれた。

1994年、Misako’s Hair Studio 1号店オープン

  「出会いはとても大事にしている。とても大切よ」と話す美砂子さん。自身が1からプロデュースする店舗の購入時もこの出会いが大きな力を貸してくれた。美砂子さんのサービスに長年、満足をしていた顧客の弁護士や有名シェフが店舗購入の保証人になってくれたり、好条件での物件購入に一役買ってくれたりもした。「何があっても必死で働いて稼ぐ人だから安心、信用ができる」と評価されていたからだった。

 Misako’s 1号店では日本人のスタッフだけを雇い、現在もそのスタイルは変わらない。こちらの美容師は「アーティスト気取りのところがあり、お客様本位でない場合が多い」。美砂子さんは「サービスを提供するのに言葉は問題ではない、サービスを伝えることが大切」と、「お客様の目線に合わせて接客する」、「外までお見送りする」、「友達同士のようにカジュアルになりすぎない」、「シャンプーの前にさりげなくマッサージを施す」など、簡単なようで北米では見逃されているサービスの大切さを説明する。このようなサービスが徹底されていないバンクーバーでは、日本では当たり前のように用意されているシャンプーカバーや枕などの備品さえも売られてもいないため、1カ月に一回は日本に飛び、調達するという。おもてなし心、ホスピタリティーの発露だ。

人材を育てることが店舗展開の鍵に

 2号店、3号店、4号店と、次々と店舗展開ができた理由は「それだけの人材が育ったから」と話す。「私は体が1つしかないから自分一人で全ての店舗をみることはできない。いくら資金があってもそれを担う人材の育成、任せられる人がいないとビジネスを拡張するにはリスクがありすぎる」と。現在、各店舗を任せるマネージャーへは経営者として厳しい目も向ける。人の上に立つことで実力をより発揮できる人もいるし、それでダメになってしまう人もいる。そんな時は、降格もするし、昇格もさせる。厳しいようだが、それが実力社会で働くということなのだろう。

 それでも「お母さん」と慕われ、時間の許す限りスタッフからの相談に乗る美砂子さんだが、「他の経営者の方もよくおっしゃりますが、経営者とういうのは常に孤独なのよ。スタッフに愚痴ることはできないし、決断するときは一人。責任を取るのも一人。スタッフと程よい距離を取ることが大事ね」。経営者としての資質というのは人望に甘んじず、人を育てるというところにあるのかもしれない。

前に進むためには
乗り越えること
強く願うこと

 3年半前には定期健診で乳がんが見つかった。「岸壁から突き落とされるような気持ちになった」。それでも早期発見。不幸を嘆く前に、自分で徹底的に治療法を調べ、ただ医者の思うとおりの処置では満足しなかった。まず自分自身が納得いくことが大事だった。どんなことがあってもあきらめない、前を見続ける。抗がん剤療法で髪の毛が抜けるため、頭を丸刈りにしてしてウイッグをかぶった。「スタイリストなのに…」と、ひととき嘆いたこともあったが、「私は昔から切り替えが早いの。泣いていたって始まらない」。そうして、がんを克服、精力的に活動を続けている現在がある。

 子どもの時からの夢と目標を追い続け、常に前を向いてチャンスを手繰り寄せてきた美砂子さん。世の女性は家庭、結婚、出産、自立、仕事など大きなハードルを越えていかなくてはいけない。「望むものがどれだけのものなのかは人それぞれ違います。でも自分の求める目標を持ち、本当にそれを手に入れたいと強く願えば必ずそれは叶うはず。簡単ではないけど、それだけ強く願えばどれだけでも頑張ることができる」と後に続く人たちにエールを贈る。

Misako’s Hair Studio

ダウンタウン・デイビー店
888
Davie St. Vancouver. TEL 604-683-8853

ダウンタウン・ビーチ店
776 T
hurlow St. Vancouver TEL 604-684-8306

メトロタウン店
2
-4361 Kingsway, Burnaby TEL 604-451-8319

リッチモンド店
1115-8766 Mckim Way, Richmond
TEL 604-244-0980

 Misako’s Hair Studioでは一通りのサロンワークをこなすことができ、インターナショナルに活躍できるスタイリストを募集しています。これまでにMisako’s Hair Studio で働いたスタイリストは400人近く。ワーホリでカナダに来る若者に大きなチャンスを与え続けています。

スタッフ募集の応募は下記のメールから受け付けています。
misakoyo@telus.net



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