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バンクーバーの老舗日本食レストラン「アキ」が閉店-48年間の歴史に幕

「アキレストラン」のたかこママ

「アキレストラン」のたかこママ

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 バンクーバー、ダウンタウン中心地にある日本食レストラン「アキ」(745 Thurlow St, Vancouver)がビルの取り壊しに伴い、2月15日で閉店する。

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 同店は1963年に旧日本人街パウエルストリートでスタートし、13年前にダウンタウン中心地に移転した。現在、バンクーバーには日本食レストランは200店舗以上あるといわれているが、当時は、BC州でも4店舗のみで、バンクーバーでは日本人の経営する日本食レストランは同店が初めてだった。

 同店を夫婦で経営する「たかこママ」は、「当時はまだ『すし』がカナダ人には浸透していなかったため、保健省の検査官からすしに使うご飯を『もっと熱くしろ』と指導をされたりして、かなりやりあった」と振り返る。

 すしに限らず、日本食全般を扱う同店には多くの日本人が集まった。当時は商社ごとに店内の個室が決まっていたり、単身赴任の駐在員などは「まるでわが家のように」毎日夕飯を食べに来ていたりした。「『残業をしているから鍋焼きを持ってきて』というわがままにも応えたこともある」と笑顔を見せるたかこママ。

 40年前に地元紙が同店についての記事を掲載してからは、日本人だけではなく地元の人も常連となり、毎日予約で忙し日が続いた。あるとき、「予約のトルドーという名前を見過ごし、満員だったため帰っていただいた。後でカナダの首相ということがわかり驚いたが、その後も何度か来店していただいた」。当時から日本食の伝統的な味を「アキのレシピ」でしっかり守ってきたことが、日本人からも地元の方からも受け入れられる結果となった。

 開店当初はアルコールの販売許可がなかったため、ティーポットに酒を入れて出していた。それが検査官に見つかり営業停止になったこともあった。「当時は、他のレストランもそうやってお酒を出していた。『ティーポット』というとお酒が出てくるのよ」と当時の苦い思い出を懐かしむ。

 48年間、何千人もの客と付き合ってきたたかこママ。現在でもお客の10%は当時から付き合いのある人やその家族だという。「いろいろな思い出がある。常連客が多いので、ビルの取り壊しによって終わってしまうことは非常に寂しい。ただ後継者もいないので引退を決めた。多くのお客さまから『続けてほしい』とうれしい声を掛けていただいている。もしダウンタウンで条件に合う場所を見つけたらもう一度オープンするかも」とも。

 たかこママは「40年以上、共に歩んできたスタッフ。常連客の皆さまには感謝のみ」と何度も繰り返す。つらいことも多々あったが、「後悔したことは一度もない。この年になると悪い思い出は全て忘れるのよ。残ったのはいい思い出ばかり」ときっぱり。

 引退後は「ゴルフを、時間を気にせずに楽しみ、日本にも旅行に行きたい。穏やかな生活を送ります」。閉店の知らせを告知してからはさらに連日、閉店を惜しむ客が列を成している。たかこママ夫婦とスタッフの新たな門出を祝福したい。

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