カリフォルニア・ロールの生みの親=東條さんの店が19周年迎える

カリフォルニア・ロールの生みの親、東條英員(ひでかず)さん

カリフォルニア・ロールの生みの親、東條英員(ひでかず)さん

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 カリフォルニア・ロールの生みの親でもある東條英員(ひでかず)さんが経営するバンクーバーの和食レストラン「Tojo's 」(1133 W. Broadway, Vancouver TEL: 604-872-8050)が10月6日、開店19周年を迎えた。

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 「安心・安全・オリジナリティー」の3点をコンセプトに営業。日本で食べられている和食をそのままカナダで再現するのではなく、日本料理の伝統を壊さないまま一工夫を加え、現地の人にも受け入れられるものを、地元で手に入る新鮮で質の良い材料で作って提供しているのが特徴。

東條さんが今までに生み出した新しいメニューは数知れず、今では世界中に広まっているカリフォルニア・ロールもその一つ。のりや生ものに抵抗がある客に、日本のすしを食べてもらいたい、日本の文化を否定してほしくない、という思いから東條さん自身が考え出した「東條巻き(Tojo Roll)」が始まりだった。

BC(ブリティシュコロンビア)ロールは、まだバンクーバーでうなぎが手に入らなかったころに、日本人駐在員たちの「うなぎが食べたい」という要望に応えるために、鮭の皮に身を一層付けたものをグリルしてほかの具と一緒に巻いて出したら好評で、それ以来作り続けられている。そのほかにも、のりの代わりに薄焼き卵で巻いた「ゴールデン・ロール」、キュウリをカツラむきしたもので巻いた「ノーザンライト・ロール」など、次々と新しいすしのスタイルを編み出してきた。

 同店で開店当初から働いているスタッフの柴田綾子さんは「毎日心から楽しんで働いている。東條さんと一緒にこの場所で働けることを日本人として誇りに思う」。20年来通い続けている常連客は「Tojo's で出されるものはおいしいのが当たり前。ここに来ると、毎回どんなものが出てくるか楽しみでワクワクする。東條さんを中心に長年一緒に働いてきて息のあったスタッフのきめ細かい心遣いと温かみが感じられるので、食事が済んで家に着いてからも幸せな気分が続く」と魅力を話した。

同店の名前はバンクーバーだけでなく、世界中で知られている。これまでにVancouver Magazineで1988年以来毎年和食レストラン第1位(Best Japanese Restaurant)に選ばれているほか、北米レストラン業界表彰の権威「ザガート(Zagat)」からの2007年特別賞(Extraordinary Award)を受賞したり、「1000 Places to See Before You Die(死ぬ前に一度は行きたい1000カ所)」の中でも取り上げられた。

噂を聞きつけて著名人が訪れることも多く、ビジネス界のトップや政府高官、ハリウッド俳優、歌手たちの記念写真やサインが山積みで、日本からも栗原はるみさん、地井武男さん、加藤登紀子さんなどが来店したという。

東條さんのこだわりはメニューだけにとどまらない。オーガニックの材料を使うことはもちろん、ごみの少量化を図るために調理中に出た生ごみは堆肥化(コンポスト)して再利用したり、将来的にはキッチンで調理中に出る熱を冬の暖房の燃料として利用するシステムを取り入れる計画を立てるなど、環境問題にも積極的に取り組んでいる。

今後もテレビ番組などへの出演や、世界中のイベントにゲストシェフとして招かれるなど、東條さんは世界を飛び回りながら料理を通して日本文化を広めていく。

Tojo's Restaurant

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