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バンクーバーの学生ボランティアら、津波がれき清掃-無人島でも

バンクーバー島で今年2回目の「東日本大震災がれき清掃活動」が行われた
写真提供:Japan Love Project

バンクーバー島で今年2回目の「東日本大震災がれき清掃活動」が行われた 写真提供:Japan Love Project

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 バンクーバーの日本人学生ボランティア団体「Japan Love Project」の主催で5月18日・19日の2日間、「東日本大震災がれき清掃活動」が行われた。66人のボランティアが参加して、バンクーバー島のユクーレット市海岸沿いで行ったがれき収集・分別作業は、3月の活動に続き2回目。バンクーバー日系コミュニティーへのサポートプログラムを提供する「Tonari Gumi 隣組」が共催。

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 今回は、ビーチ沿いだけでなく、付近の無人島にボートで移動して作業を行ったグループもあり、計8時間の清掃作業で、タイヤや漁業用の網・籠・浮き・ロープ、ペットボトルや日本家屋の木材、家具の一部、発泡スチロールなど、大きなごみ袋40袋以上がいっぱいになった。袋に入りきらず、運搬が難しいものについては、同市から配布された専用のテープでマーキングをし、後日BC Parksスタッフが回収する予定。

 今回初めて清掃活動に参加し、今後は同団体のプロジェクトメンバーとして活動することを決めた高月章次さんは「日本からこんなに遠いカナダまで木材などが流れていたなんて、日本にいたときは予想もしていなかった。自分は震災のことを、日本だけの問題と考えていたかもしれない。知らない場所へ行き、日本とカナダのためにボランティア活動ができたことに誇りを感じる」と話し、「海岸で日本からの漂着物を見つけたときには、『もっと見つけてやろう』とやる気が上がった。あのときのことを忘れないためにもいい機会、勉強になった」と振り返った。

 同団体広報の赤井絵理さんは「現地集合の個人参加枠を新たに設けたことで、前回の倍の人数の一般ボランティアが集まった」と反響の大きさを振り返る。「前回の活動での反省点を生かして多くのことを改善できたため、時間のロスを少なくすることができた。ノウハウが少しずつ分かってきたような気がする」とも。「2年以上が過ぎた今でも、いろいろな形で復興支援に励んでいる人たちや、まだ以前の生活に戻れていない人たちに、『私たちは忘れていない』ということを少しでも知ってもらえれば。逆に、日本で生活していながら、時間とともに記憶が風化しつつある人たちに対しては『忘れないで』という思いも伝えたい」と話す赤井さん。「がれき清掃だけにとどまらず、今後起こりうるさまざまな自然災害に対して、どういった形で手を差し伸べることができるか。行きたいから行くのではなく、現地でのニーズがあればいつでも行けるようなスタンスでいるのが理想であり、自分たちの活動目的でもある」と同団体の在り方を語る。

 現地でのコーディネート全般を担当した、同市生活環境緊急対策課マネジャーのKarla Robisonさんは「昨年11月に津波がれきの漂着がピークを迎えた。これまでに取り組んできたがれきの分別作業を通して、日本家屋に使われる材木の特徴なども学び、どういった漂着物が日本からのものか見分けられるようになってきたので、それらの情報をまとめたサイトも立ち上げた」と説明。「地域住民の皆さんの協力で、ビーチ沿いはかなりきれいになっている。問題は、人が足を踏み入れることのない離島に、どんどんがれきがたまってしまっていること」と、同エリアの現状に触れ、「離島への交通手段や足場の悪い危険な岩場などでの清掃作業をどう行うか、特殊な道具や技術が必要な作業をどう行うか。スタッフやボランティアの特別なトレーニングも必要になる。安全性と資金源の確保が今後の課題」と話す。

 「伊藤前総領事からの『ここに流れ着くものは単なるごみではなく日本の人たちにとっては思い出の詰まった大切なものかもしれない』というメッセージが深く自分の心に刻まれている」というRobisonさん。「日本政府からカナダ政府への清掃資金援助の申し出があったり、今回のJapan Love Projectを通しての日系コミュニティーのボランティア活動だったり、日本の人たちの真摯(しんし)な姿勢や誠実さには本当に頭が下がる。震災後2年が経過してもまだまだ大変な思いをしているのに、海の向こう側の私たちの環境まで気にかけてくれる日本の人たちの国民性に触れ、海を挟んで遠く離れてはいるが、その海でつながっている大切な友人のような気がする」と感謝の気持ちを語り、今後の活動継続に意欲を見せる。

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