バンクーバー水族館(845 Avison Way, Vancouver、TEL 604-659-3474)で8月末、世界最大種のミズダコ.が産卵したうち300個近くの卵がふ化した。
同館内Strait of Georgia(ジョージア海峡)コーナーに展示されている雌ダコの「C.C.」は、昨年10月に雄ダコの「Clover」と交配。通常、雄ダコは繁殖行動が終わった後、雌ダコは卵がふ化した後に衰弱死してしまう。Cloverは今回、交配後67日目に死亡、C.C.も卵の保護が終わったため間もなく死亡するだろうと同館では予想している。
ミズダコは、自然界では一度に平均7万個の卵を産むが、そのうち最終的に生き残るのはほんの数匹。同水族館動物管理責任者のDennis Thoney博士は「水族館でタコの卵がふ化するのは珍しいことではないが、順調に育つケースはまれ」と説明する。
「ミズダコは、遠洋での幼生期が7~10カ月と長期にわたるために生存率がとても低い。タコの繁殖について詳しい知識を得るために、少しでも長生きさせることができるよう、工夫して餌を与えたりしていく」と同博士。「ミズダコの交配の様子を観察するチャンスはほとんどないので、とてもラッキーだった。まだまだ分からないことが多く残されているので、今回ふ化した分をうまく育てて研究していきたい」と抱負を語る。