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リッチモンド産の純米酒「Yu」、一般流通開始-カナダ発の地酒を世界へ

リッチモンドで日本酒作りに励む春日井さん  撮影:Thomas Buchan

リッチモンドで日本酒作りに励む春日井さん  撮影:Thomas Buchan

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 リッチモンドにある酒造所「YK3 Sake Producer Inc.」(#23-11151 Horseshoe Way, Richmond、TEL 604-821-0539)が2月、純米酒「Yu 悠」の一般流通を始めた。

リッチモンドの酒造所が一般販売を開始した純米酒「Yu 悠」

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 小林友紀さんと河村祥宏さんが昨年2月に立ち上げた同社。社名の「YK3」は、オーナー2人と杜氏(とうじ)・春日井敬明さんのイニシャルが全て偶然にも「Y.K.」であることに気付き、「3人で力を合わせて頑張っていこう」という気持ちを込めたもの。

 酒造所の敷地面積は2200平方フィート。1回の仕込みでできる量は400~450リットル。今回、販売を始めた商品は「Yu悠」ブランドの3種類。純米酒「Yu Junmai Sake」(グリーンラベル/375ミリリットル=14.90カナダドル、750ミリリットル=24.90カナダドル)、全麹仕込み純米酒「Yu Junmai All Koji Sake」(オレンジラベル/375ミリリットル=15.90カナダドル、750ミリリットル=25.90カナダドル)、純米にごり酒「Yu Junmai Nigori Sake」(ピンクラベル/375ミリリットル=12.90カナダドル)を展開する。

 ブランド名の「Yu」は外国の人にも発音しやすいだけでなく、「私ではなくてYou(あなた)のためのお酒」という意味や、アルゼンチンのある地方で、驚いたり感動したときに使うフレーズ「ジュー!」のつづりにも似ていることから、「このお酒を飲んで『Wow!』と感嘆の声を上げてもらいたい」(小林さん)という願いから名付けたという。漢字表記を考えるときには、「遊」「優」なども候補に挙がったが、「悠」の文字には「リラックスした」「永遠の」という意味があると知り、ラベルに使うロゴとしてもデザインしやすいことから満場一致で決定したという。

 1999年から長野県と滋賀県で蔵人(くろうど)として修業を積み、2007年からカナダで日本人杜氏として活躍している春日井さん。「リッチモンドは(日本に比べて)極端な気温差がなく安定した気候で、水の成分が長野の水とよく似ていてとてもおいしい」とし、「一年を通して仕込みができるので常に新鮮な酒を提供できる。日本酒の良さをカナダ、そして世界に知ってもらいたい」という思いで、日夜、休日返上で仕込み作業に打ち込んでいる。

 小林さんは「初めて日本酒を飲む人から、食通の人、ワイン好きの人など、老若男女問わず幅広い客層に楽しんでもらえるよう、それぞれの香りや味の調整に気を配った」とし、「現在、バンクーバーとビクトリアの日本食レストランを中心に置いてもらっており、グリーンラベルの純米酒が一番飲みやすいので、日本酒初心者の人にまず薦めている。通常よりも甘みを抑えた昔ながらのにごり酒スタイルのピンクラベルが予想以上に好評」と話す。

 「うちは春日井さんの腕なしでは成り立たないので、『ザ・春日井』的な商品を出したいくらい」と杜氏の腕に120%の信頼を置いている小林さん。今後の事業展開について、「市場をBC州からアルバータ、オンタリオ、とカナダ全土へ徐々に広げていき、軌道に乗れば海外輸出も視野に入れている。コンペティションなどにも出品して商品の認知度アップも図れれば」と抱負を語り、「ある程度、現在の商品の人気が確立すれば、さらに純米吟醸酒や純米大吟醸酒など、ワンランク上の日本酒を提供していきたい。仕込みの過程で出る酒かすの有効利用も考えている。うまく製品化できるようアイデアを練っている段階」とも。

 現在、BCリカーストアのBute/Alberni店(768 Bute Street, Vancouver)とLegacy Liquor Store(1633 Manitoba St., Vancouver)で販売している。取扱店は同酒造所のサイトで確認できる。

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