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日本の絵手紙文化を世界へ 和歌山の講師が日本語学校でワークショップ

慣れない筆の動かし方に苦戦する日本語学校の生徒たち

慣れない筆の動かし方に苦戦する日本語学校の生徒たち

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 リッチモンド市郊外にあるスティーブストン日本語学校(4111 Moncton Street, Richmond、TEL 604-274-4374)で10月27日、絵手紙体験ワークショップが行われた。

完成した絵手紙それぞれについてコメントをする島本夫妻

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 講師は、和歌山からカナダ旅行に来ていた日本絵手紙協会公認講師の島本忠生さん・佳代子さん夫妻。「日本全国に普及してきた絵手紙を世界に広める一歩にしたい」と、ツアー中の自由行動時間を利用して同校に足を運び、6・7年生とシニアクラス計17人の生徒たちを対象に開いた。

 授業の冒頭で、まず佳代子さんが、絵手紙のキャッチフレーズ「ヘタでいい、ヘタがいい」を紹介すると、教室内には生徒たちの驚きの声があふれた。佳代子さんは時折ジョークも交えながら、「お手本をまねするのではなく本物を見て描く」「絵手紙に失敗はない」「送りたい相手のことを思いながら気持ちを込める」という、絵手紙の心得について解説。生徒たちは、基本的な運筆の仕方や正しい姿勢、構図のポイントや色の付け方についての説明に熱心に耳を傾けた。

 最初のうちは戸惑っていた生徒たちだったが、「筆が震えて動かすのが難しい」「絵の描き方が普通と違って面白い」「日本のおばあちゃんに送ってびっくりさせたい」と、次第に作業に没頭。初めての体験に目を輝かせながら、2時間のワークショップ中にそれぞれ自分だけの「世界に1枚しかない」絵手紙を完成させた。

 「生徒さんたちが、じっと座って集中して取り組んでくれるかどうか少し不安もあったが、いったん筆を手にするとキリッと姿勢を正して落ち着いてくれたのでほっとした。それぞれが子どもらしく自由な発想で伸び伸びと描いた作品はどれも素晴らしい出来で感激したし、終わった時に皆が満足そうな顔をしてくれていたのがうれしかった」と喜ぶ佳代子さん。「長旅の疲れも子どもたちの笑顔を見たら吹き飛んだ。これをきっかけに、もっともっといろんな場所で絵手紙の楽しさを紹介していけたら」と抱負を語る。

 同校の鈴木知子校長は「生徒たちは『今日はいったいどんなことをするのだろう』と少し緊張した中で始まった講習だったが、島本先生の『下手でいい、下手がいい』の言葉でふっと無駄な力が抜けた瞬間があり、絵手紙を通して受け取る人の気持ちを思いやることを教えていただけた」と振り返り、「教科書での日本語の勉強とは違い、新しいことに挑戦しながら日本語や日本の文化を楽しみ、生徒たちの宝物となるような体験をさせてくださったご夫妻に心から感謝している」と笑顔を見せた。

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