バンクーバーのベーカリー「Kawaii Eats」が販売している日本のキャラクターをモチーフにしたマカロンが、市内各所で開催されているファーマーズ・マーケットやクラフトフェアなどで来場者から注目を集めている。
オーナーは、「おいしいものを食べることとお菓子作りが大好き」というMelany Yeapさん。2009年に日本に旅行したときに料理の盛り付け方、特に和菓子の美しさと上品な味わいに触れ、「日本の職人技に感動し、『見た目と味、香り、音、歯触りの全てを楽しめる』ものを自分でも作りたいと思った」ことがきっかけで、「The Pacific Institute of Culinary Arts」の製菓コースに入学。在学中のプロジェクトとして、日本の「かわいい」文化と西洋菓子のマカロンを融合させた作品を提出した。
東日本大震災後、昨年4月に企画された日本支援のためのファンドレージングイベント「Bake for the Quake」では、桜やハローキティをデザインしたマカロンを焼いて出品し好評を得た。今年4月の日系イベント「Sakura Days Japan Fair」に出店した屋台では、イベント終了時間の2時間前に売り切れるほどの人気で、2000個以上のマカロンを売り上げた。「このビジネスを始めてからのハイライトだった。多くのことを学べてとてもいい経験になり、この仕事を続けていく自信がついた」と振り返る。
この1年で新しい顧客が急増し、「若い人、特にアジア系の女性たちが『かわい過ぎて食べられない』と言いながら購入してくれる」と笑顔で話すMelanyさん。ハローキティ(バニラ生地+ラズベリー・バタークリーム)、豆しば(抹茶生地+バタークリーム)、パンダ(バニラとチョコ生地+ダークチョコとオレンジブロッサムのガナッシュ)のマカロン3個をセットした「Kawaii Pack」(6カナダドル)は子どもたちにも人気だ。日本の雰囲気や風味をイメージした「Kyoto Pack」(6カナダドル)では、桜(抹茶生地+ゆず入りホワイトチョコレートガナッシュ)とチョコレート(チョコ生地+ヌテラ・バタークリーム)、黒ゴマ(黒ゴマ生地+あずきバタークリーム)の3種類が楽しめる。
各シーズンやイベントをテーマにした季節限定品も販売するほか、最近では、試行錯誤を繰り返して完成させた「日本のメロンパン」も人気だという。マカロンを積み上げて作ったタワー状のケーキがウエディング雑誌「Real Weddings」にも取り上げられるなど、口コミで評判が広がっている。
「ベストな口当たりを作るためには湿度の調節がとても重要なので、雨の多い時期は大変。マカロンを焼く日をいつにするか、常に天気予報とカレンダーを見比べている」と、マカロン作りの難しさを説明するMelanyさん。現在は、ファーマーズ・マーケットや各種イベント会場を中心に出店するほか、ネットでの注文に対応しており、誕生日や結婚式などの特別なケーキ類の注文も受け付ける。「これからもまだまだ新しいデザインを考えていきながら、自分とマカロンの可能性を試してみたい。いずれは自分の店を出せるようになれたら」と抱負を語る。