バンクーバー交響楽団（Vancouver Symphony Orchestra、VSO）はOrpheum Theatre（601 Smithe Street, Vancouver）で9月28日・30日、パーカッショニストEvelyn Glennieさんを迎えて今シーズン最初の公演を行い、記念すべき95周年目が始まった。

　初日のコンサート開始前には、オーケストラの演奏とともに観客がカナダ国歌を斉唱。ブリティッシュ・コロンビア州知事のChristy Clarkさんも特別ゲストとして来場し、「1919年はNHLのスタンレーカップが中止になるなど、戦後で皆が希望を失い、暗くなりがちな世の中だったが、そういうときにVSOが立ち上がってくれたおかげで、荒（すさ）んだ生活の中に音楽という潤いを取り戻すことができた」と同楽団の貢献をたたえた。

　今シーズン中、バンクーバー近郊とウィスラーの16会場で150回以上の公演を予定している同楽団。例年通りの定番クラシックやポップス、子ども向けコンサートに加えて、偉大な作曲家たちに焦点を当てた「Spring Festival」や、多国籍文化からなるバンクーバーにちなんだ曲を取り上げる「Pacific Rim Celebration」、世界各国からゲストを迎えての「New Music Week」など今年初めての企画も。

　ゲーム音楽を映像とともに楽しむ「ゼルダの伝説」（10月16日）、ティム・バートン監督の映画音楽特集（11月23日）、ジェームズ・ボンドの50年を音楽で振り返るコンサート（2014年1月10日・11日）、グラミー賞シンガーのエイミー・グラントさんとのコラボ（同4月14日）、ピクサー映画の音楽13曲を演奏する企画（4月30日）など、盛りだくさんのラインアップとなっている。

　会場では、同団指揮者のBramwell Toveyさんと同楽団のBC Entertainment Hall of Fame（BC州エンターテインメントの殿堂）入りも発表された。グランビル通り沿いに記念プラークが埋め込まれるのは11月中旬になる予定。Toveyさんは「この美しい町を1988年に初めて訪れたときには、自分がオリンピックで全世界の国歌演奏の指揮をするようになるとは思ってもみなかった。指揮者だけでは何の音楽もできない。美しい音楽を奏でてくれる団員たちがいるからこそ成り立つもの」とし、Clark州知事は「音楽やダンス、絵画などの芸術・文化は私たちにとって大変重要な意味を持ち、言葉や文化の壁を越えて人々を一つにしてくれる」とコメント。今後もさらに州政府として支援していくことを約束し、同楽団メンバーらに惜しみない拍手を送った。