カナダ雇用・社会開発相(Employment and Social Development)は4月24日、臨時外国人雇用制度(Temporary Foreign Worker Program)の見直しのため、飲食業全般に関わる職種に対し、LMO審査(Labour Market Opinion就労許可証取得に必要な申請)の一時停止を発表した。
臨時外国人雇用制度は「カナダ人の雇用を最優先すること」とされているが、マクドナルドをはじめとする飲食店で同制度の乱用があったことをきっかけに、LMOの停止措置に踏み切った。
これに伴い、サーバー、ウエートレスにとどまらず、シェフ、セールスマネジャーなど飲食業全般の職種が就労許可の対象外となり、就労許可書を申請中、すでに同制度下で就労している労働者の再申請も停止措置となり、ファストフードチェーンだけでなく、多民族、多文化のカナダでは各国の料理を提供するレストランにも大きな影響を与えることとなる。
ダウンタウンの日本食レストラン経営者らは同措置に関して、「カナダ人の雇用を最優先することには共感できるし、実際に日本で同じ状況であれば、やはり必要な政策だとは思う」とした上で、現実的には「非常に困っている。こちらが求めている将来を担う人材、技術を持っている人などが手に入りにくくなり、ビジネスの幅も狭まってしまう」と対応に苦慮している。
バンクーバーのビザコンサルティング会社「ビザJPカナダ」の政府公認移民コンサルタントの白石有紀さんは「今回のLMO一時停止で、影響を受ける雇用主、申請予定者は大変多く、カナダ全土の飲食業からたくさんの問い合わせを頂いている。今回の処置は、飲食業における外国人労働者の雇用状況を受けての対策。各州で高い失業率が懸念される中での政府の考えなのだろう。この制度の見直しが一段落着くまでは飲食業からのLMO審査停止は続く予定。レストランで一生懸命働いている就労ビザ希望者や、スキルのある従業員の確保を望む雇用主も多いだけに、早く、この一時停止が解除されることを願っている」と話す。
連邦政府は引き続き、雇用者に対し「カナダ人を最優先に雇い、仕事を教育し、外国人の雇用は最後の手段とすること」を強く求めていく方針としている。