現在開催中のバンクーバー国際映画祭で10月8日、アルツハイマーを患う歌手ジョン・マンさんのドキュメンタリー映画「Spirit Unforgettable」(Peter McCormack監督)が上映された。マンさんと所属バンド「Spirit of the West」の仲間も登壇し舞台挨拶を行った。
80年代からバンクーバーを拠点として活動する「Spirit of the West」はケルト音楽とロックを融合したサウンドが特徴のフォーク・ロックバンド。ジョン・マンさんはリードボーカル兼ソングライターとして活躍し、「Home for a Rest」や「Save this house」などのヒット曲が知られる。
映画は2014年に51歳でアルツハイマーの初期段階だと公表したマンさんが、ステージで歌詞を忘れてしまうなど進行する症状に困惑しながらもバンド活動を続ける姿と、周囲で支える家族や仲間の様子を追う。合い間にバンド結成当初からの映像やエピソードなども交え、マンさんとバンド仲間の音楽に対する姿勢やメンバーの絆の強さも見せる。
マンさんは「アルツハイマーは真っ白な壁のよう。頭のなかが空っぽになる気がする」と不安気に語りながらも家族と仲間がいることに感謝し、時折歌詞に詰まるステージでは仲間やファンに助けられながらも歌い続ける姿を見せる。
上映会場にバンド仲間と登場したマンさん。上映後はほぼ満席の客席からスタンディングオベーションを受けた際には笑顔で感慨深げに会場を見渡し、ひと言「I Love you」と応えた。