毛利衛さん、バンクーバーで宇宙特別授業「宇宙からの贈りもの」

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 バンクーバー補習授業校(419 East 24th Ave., Vancouver)で9月24日、宇宙飛行士で日本科学未来館(東京都江東区青海)館長の毛利衛(まもる)さんが宇宙特別授業「宇宙からの贈りもの」を行った。主催は在バンクーバー日本国総領事館。

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 日加科学技術協力25周年記念事業の一環として、カナダでの日本の科学技術力への理解を深めるために企画された同イベント。モントリオール、オタワでは英語での講演だったが、今回は日本語を学ぶ生徒と保護者向けに日本語で行われた。毛利さんは、参加した子どもたちとの積極的な質疑応答を交えながら、写真やビデオを使って、スペースシャトル内での宇宙飛行士の生活の様子、自身が行った実験内容などを具体的な例を挙げて分かりやすく説明した。

 「世界初の宇宙飛行士ガガーリンの『地球は青かった』という言葉に憧れて、自分も宇宙に行って地球を外から見てみたいと思った」13歳のころの話や、15歳のときに皆既日食を体験して「自然界には未知なことがまだまだ多いと実感して科学者になろうと決意した」と宇宙飛行士を目指すようになったきっかけも紹介。「本で読んだりテレビで見たりして得た情報を単なる知識として覚えるのではなく、常に『どうして?』『何でだろう?』と考えてみること」「物事や現象には必ず理由があるので、それを突き詰めて考えること」の大切さを強調した。

 講演終了後に設けられた質問コーナーでは、「自分のモチベーションを維持して、目標に向かって進んでいくにはどうしたらよいか」と今後の進路に悩む生徒からの質問に対し、「はっきりとした目標を持っていれば大丈夫。自信がなくなったり失敗することもあったりするが、続けてさえいれば最後には目標を達成できる。自分も宇宙飛行士になるには30年かかったから、あなたにもできるはず」と笑顔でアドバイスする場面も。

 講演に参加したTyくん(10)は「スペースシャトルの中でのトイレや食事の話がとても面白かった。もし自分が宇宙に行くなら、ピザとメントース(キャンディー)を持って行きたい」と目を輝かせ、保護者のひとりChizukoさんは「難しい用語を並べるのではなくて、子どもたちに目で見えるような形で具体的にイメージできるよう説明してくれたので、とても分かりやすかった。何でも科学的に考えようとする毛利さんの姿勢に感銘を受けた」と話した。

 日本語と英語だけでなく、フランス語、中国語など多くの言語を習得し、異なる文化に触れる機会があるバンクーバーで、いろいろな人たちと交流をするよう勧める毛利さん。「相手への配慮を大切にする日本人の文化は、狭い空間で一緒に作業をしていかなければならない宇宙ステーションでは重要視される要素の一つ。日本語の勉強を通じて日本文化の良さを身につけ、世界中にそれを広めてください」と子どもたちに呼び掛けた。

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