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東出昌大さん、初海外映画祭で舞台あいさつ バンクーバーで「GONINサーガ」上映

身振り手振りを加えて真剣に現地メディアに対応する「GONINサーガ」の東出昌大さん

身振り手振りを加えて真剣に現地メディアに対応する「GONINサーガ」の東出昌大さん

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 現在、市内各所の劇場で開催中のバンクーバー国際映画祭で、日本でも公開されたばかりの「GONINサーガ」が海外初上映された。9月28日のVancouver Playhouse(600 Hamilton Street, Vancouver)には石井隆監督、30日のCineplex Odeon International Village(88 West Pender Street, Vancouver)には監督とともに主演の東出昌大さんも来場して、舞台あいさつと質疑応答が行われた。

「GONINサーガ」を制作した石井隆監督(右)、主演の東出昌大さん(中央)、バンクーバー国際映画祭アジア作品プログラマーのトニー・レインズさん(左)

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 同フェスアジア作品部門のプログラマー、トニー・レインズさんは「登場人物の複雑な人間関係を把握しようと必死になり過ぎて、最初混乱してしまう人も多いかもしれないが、そこはあまり気にせず、力を抜いて話の流れにそのまま付いていってもらえたら、必ずこの作品の世界に引き込まれる。日本のヤクザたちが繰り広げるオペラだと思って楽しんで」と上映前に紹介。

 今回、1泊3日の強行軍で現地入りした東出さんは「(観客に)日本人や日系の方が多いようなので自分が不慣れな英語で言う必要ないかと思ったが、ほかの国の方に不公平になってはいけないので」と少し恥ずかしそうにしながら、「『GONINサーガ』で主役を演じた東出昌大です。今回が初めての海外映画祭参加なので、とても興奮しています。招待していただき光栄です」と英語でスピーチ。観客からの質問にも一つ一つ丁寧に答えていた。

 「前作の出演者の皆さんの魂を受けて、たすきを引き継いでいけたらという気持ちで撮影に臨んだ」という東出さん。現場の雰囲気を「『クレイジー』というより『マッド』な監督の狂気に満ちていた。常に殺気立っていて殺伐としていたので、共演者同士がみんな仲良しという状況ではなかった」としながらも、「日本での公開初日後、初めて他の出演者たちと飲む機会があり、こんなに気の合う、すてきな人たちと一緒に仕事をしていたのだと分かった。これからもGONINで同窓会を開こうと約束した」と話し、監督の演出については、「男の色気をとてもうまく描く監督だと思う。あまり具体的に演出をされず、『全部本の中にあるから』と言われた。役者全員が本をしっかりと読み込んできて、現場の激流の中でもみくちゃになりながら作り上げていく生き物のような現場だった」と振り返った。

 東出さんから「狂気的」と評されたことに対し、石井監督は「基本的に映画を作るのが楽しくて、ただにこにこしながら『もっといけー!』と言っているだけなのに、周りからいつもクレイジーと言われてキョトンとしている」と返して場内の笑いを誘いつつ、「裏方は一回きりのものを撮り逃さないよう一生懸命、丁寧に撮っている。その姿勢が自然と作品に表れているのだと思う」と映画作りへの思いを語った。

 質疑応答の最後に、東出さんは「せっかくバンクーバーまで来たので撮影のときの小話を」とマイクを取り、同作品限定で俳優復帰した根津甚八さんと監督とのエピソードを紹介。「自分を含めて現場のみんなが根津さんのお体をおもんばかっていたが、そんな根津さんに向かって、今まで怒鳴ったりしたことがなかった監督が『今、顔撮ってるから、もっと上げて!』と怒鳴った。根津さんもそれに必死で答えようと不自由な体を動かしていた姿に、今までにもそしてこれからも感じることのないものすごい衝撃を受けた。人生を通して役者であり監督であり、映画作りに真剣な姿を目にして、仕事っていうのは生き方そのものなのだなと痛感させられた」と結ぶと、会場からは感嘆の声が上がった。

 劇場の外に集まったファンにも笑顔で手を振り、握手やサインにも快く応じていた東出さん。「海外で受け入れてもらえるのか少し不安もあったが、多くの人が見に来てくれて心からうれしい限り。石井監督の『もの作り』の方法はとてもこまやかで、作品に奥深さがあるので、見るたびに新しい発見があるはず。何度見ても楽しめる」と話し、「今後もバンクーバーは清潔感があってきれいな街並みなので、今度はもっとゆっくり来てみたい」と、滞在時間の短さを嘆きながら会場を後にした。

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