バンクーバーの春の風物詩として定着した「Vancouver Cherry Blossom Festival(VCBF、バンクーバー桜祭り)」が3月24日、今年もスカイトレインのバラード駅広場でのコンサート「Cherry Jam Downtown」を皮切りに幕を開けた。
例年大盛況となるイベント「Sakura Daysジャパン・フェア」をはじめ、「俳句コンテスト」「桜イルミネーション」「桜トーク」「写真コンテスト」「花見バス」「花見サイクリング」など、桜をテーマにしたさまざまなプログラムを展開。10周年となる今年は特別企画として、桜並木が水上を移動する「Blossom Barge(ブロッサム・バージ、桜の船)」も登場する。
「桜の船」のアイデアは、「長年イベント開催の原動力として活躍してくれている桜祭り実行委員のIan MacDonaldさんが、バラード橋の下を毎日山のように荷物を積んで通過していくバージ(平底の荷船)を自宅の窓から眺めていて思いついたもの」(同フェス実行委員長Linda Pooleさん)。「多くの荷物が特に誰の目にもとどまらないままバンクーバーに運ばれてきては、地域経済を動かす基盤になっている。それと、桜の開花が自然に囲まれたグリーンな町を目指すバンクーバーに春を告げて街が動き出すイメージと重なった。水上を移動する桜アート・インスタレーションと考えてもらえば」とコンセプトを説明する。
同フェスのラストを飾る「桜の船」。約40本の満開の桜の木を、長さ80フィート(=約24メートル)の荷船に配し、4月16日の8時30分に、ガスタウン東部にあるCrab Parkからグランビルアイランドまでタグボートが約2時間かけてけん引する。到着後と翌日には、「桜のステージ」として、グランビルアイランドのパブリックマーケット前広場で、地元の和太鼓グループやバンドが無料コンサート(12時~14時)を開き、終了後は再び同じルートで戻っていく(15時~17時)。
今回の企画の難しさについて、Pooleさんは「雨の多いバンクーバーで、タイミングよく満開の桜をそろえるのは大変だが、市内に比べて数週間開花時期が遅めになるエリアのガーデナーの皆さんの協力を得て、シロフゲン、シロタエ、カンザンの3種類の中からちょうど時期のいいものを選んでもらう予定」と話し、「水上でのイベントが初めてなので、潮の流れの計算なども専門家のアドバイスを参考にしながら進めていく」とする。
Pooleさんは「あっと言う間の10年だった。こんなに短い期間で町を代表するイベントに成長したことを誇りに思うとともに、『バンクーバーの桜』に対する私の思いに理解を示し、協力してくれる人たちが常にそばにいてくれたことが本当にありがたい」と、感謝の意を表する。今後の展望については、「これからさらにイベントを継続し、大きく発展させていくには、どうしても資金面でのサポートが必要なので、タイトルスポンサーのような形で企業や団体の協力を得られるのが理想。街を彩ってくれる美しい『桜』を中心として、市全体が一体となって盛り上げていければ。この先もずっとバンクーバーの桜を全世界から訪れる多くの人たちが楽しんでいけるようにしたい」と抱負を語る。
バンクーバー桜祭りは4月17日まで、市内各所で開催中。