バンクーバー国際映画祭で「夢の島」上映-蔦哲一朗監督ら来加

第28回バンクーバー国際映画祭で、自主映画「夢の島」が上映され、日本から来加した蔦哲一朗監督との質疑応答が行われた。

第28回バンクーバー国際映画祭で、自主映画「夢の島」が上映され、日本から来加した蔦哲一朗監督との質疑応答が行われた。

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 10月1日から開催されている「第28回バンクーバー国際映画祭(Vancouver International Film Festival)」に、自主制作映画「夢の島」の蔦哲一朗監督が日本から撮影スタッフとともに来加し、作品上映と質疑応答が行われた。

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 同作品は、急速な経済成長の裏側で自然破壊を続ける社会への警告として、爆弾テロを仕掛ける外国人の青年と、事件の究明に尽力する刑事のやりとりを描く。東京工芸大学の映画サークル「ニコニコフィルム」の卒業制作として撮影した自主映画で、若手映画監督の登竜門といわれる映画祭「第31回ぴあフィルムフェスティバル」で観客賞を受賞した。

 作品のテーマ「環境破壊への問題提起」は、田舎育ちの監督自身が「自分の周りでどんどん自然が失われていくのを身近に体験した」ことがきっかけになっている。「現代社会が抱えている問題を一昔前の作風で表現したかった」と話す蔦さんは、同作品をあえて白黒フィルムで撮影し、現像、ネガ編集、画像合成すべての作業を、試行錯誤を繰り返しながら自分たちで行った。

 上映後の質疑応答では、モノクロ映画撮影から完成までのプロセスについて質問が集中する中、「作品の冒頭で映像の粗さなどについての謝罪文が出てきたが、決して謝る必要はない。自分たちが手間をかけて仕上げた作品にもっと自信を持っていいと思う。白黒で昔風の素朴な映像や演出が作品にとてもいいテイストを加えていた」とバンクーバーの映画ファンが絶賛する場面も。

 主人公を外国人の青年に設定した理由については、「日本人は自分たちの内側の問題について、外から言われて初めて気が付く傾向にあるので、この作品を見る日本の人たちも外国人の主人公の目を通して受け止める方が問題が自然と見えてくると考えた」と説明。

 バンクーバーの印象について、「通りですれ違う人にアジア系の人が多く、ダウンタウンに立ち並ぶ高層ビルの様子など、日本によく似ている部分がある。もしもバンクーバーが舞台の映画を撮るとしたら多民族で成り立っている社会の様子を取り上げてみたい」と話す蔦さん。「日本の古い映画について自分たちよりも詳しい人がかなりいて、映画通の人が多い」と驚いた様子を見せた。

 今後の活動について、蔦さんは「『世界を変える』とまではいかなくても、世の中に対する憤りのようなものを表現しながら、社会派を意識した作品を撮り続けていきたい」と意欲をみせる。

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