バンクーバーのサイモンフレイザー大学、アジア・パシフィック・ホール(580 West Hastings St)で「カナダ・日本文学作家六者対談」が行われた。
国際ペンクラブ会長にカナダ人作家、ジョン・ラルストン・サウルさんが昨年、選任されたことを受けて国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は文学を通して日加間の対話の場を持ちたいと日本を代表する作家、阿刀田高さん、浅田次郎さん、森絵都さんをカナダに派遣。カナダペンクラブと日本ペンクラブの共催で4月26日からモントリオール市、トロント市で連続講演会を行い、最終地、バンクーバーではサイモンフレイザー大学の協力を得て、カナダ人作家らとの六者対談が実現した。
バンクーバーでの対談に先がけて開催されたレセプションで森絵都さんは「スピーチ終了後の質疑応答に積極的に質問をするなど読み手と書き手の距離を近く感じた。文学的なイベントに熱心に参加されている」とカナダでの講演を振り返り、これから物語を書きたいと考えている人に向けて「書きたいものがあればそれを見つめて、それにふさわしい表現を見つけて築き上げていってほしい」とメッセージを寄せる。
ほかにどのようなことをしようとも「書くことだけには真面目に取り組んできた」という浅田次郎さんは必ず1日一冊は本を読み、6時間は机に向かう。借金しようが友だちから借りた金を踏み倒そうが本にだけはお金を惜しまなかった。現在でもどのようなジャンルの本でも読み続ける。書こうと思うなら「まず読むこと。よき読者であれ」と。
阿刀田高さんは海外で「自分がスピーカーとして連続で講演するのは今回が初めて」と話し「文学交流はお互いが本を読んでいないと意味がない。今回の交流をきっかけに読んだカナダの作家、ヴィンセント・ラムは面白かった。カナダ文学は若さを反映している。フレッシュ」とも。
今年、9月下旬には26年ぶりに国際ペン大会が東京で開催されることが決定している。日本ペンクラブ会長を務める阿刀田高さんは東京大会について「地球環境が危ない状況。それに対して文学者がどう関わっていくか、関わってきたかを広く考えたい」と話す。今を生きる文学作家がペンで過去と現在、未来を繋ぎ、ペン先で広大なテーマに挑んでいく。