大規模な改修工事終了を間近に控えたBCプレース(777 Pacific Blvd., Vancouver)前の広場「Terry Fox Plaza」で9月16日、新しく完成したテリー・フォックス記念碑が公開された。フォックス一家をはじめ、市内の小中学生など多くの市民が集まり、あらためてテリーさんが成し遂げた偉業に敬意を表した。
カナダ勲章を最年少で受章し、2005年には記念硬貨も発行されるなど、カナダでは英雄的存在のテリーさんは、骨肉腫のために18歳の時、右足を切断。がん研究資金の寄付を集めるために、1980年に義足でのカナダ横断マラソン「Marathon of Hope」を始めたが、がんが肺転移したため、143日間で5373キロ走ったところで中断せざるを得なかった。その後、22歳の若さで亡くなったテリーさんの遺志を継いで、毎年9月にチャリティー・マラソン「Terry Fox Run(テリー・フォックス・ラン)」が全世界で開催され、現在までに世界中で5億5,000万カナダドルを超える寄付金が集められている。
同碑は、テリーさんが走る時の特有のスタイルを象徴する4体の銅像から成る。バンクーバー在住の作家で、2005年にトリビュート本「Terry」を執筆し、同碑のデザインも担当したDouglas Couplandさんは「テリーがゴール地点にしていたスタンレーパークを目指して、どんどん近付いていく様子を4体の大きさの違いで表した。もし彼がまだ生きていて、今、同じ病気にかかったとしたら、彼の生存率は当時の4倍にもなっている。それは彼がきっかけを作った『テリー・フォックス基金』の資金を使って研究が進んでいるからだといっても過言ではない」と声を詰まらせた。
テリーさんの父親Rollyさんは「(銅像は)テリーの努力と固い決意、苦しみをよく捉えてある。テリー自身と6月に亡くなった彼の母親ベティーがこの場にいないのがとても残念だが、この記念碑がテリーの成し遂げようとしていたことを今後も忘れることなく、これからの若い世代が活動を続けていくことにつながれば」と期待を寄せた。
同碑のお披露目前に行われた「ミニ・テリー・フォックス・ラン」に参加したバンクーバー市内のRenfrew小学校7年生のSandra Sunさん(12歳)は「テリー・フォックスの話を毎年聞く度に感動して、いい刺激をもらえる。テリーは自分たちに目標を持って頑張ることの大切さを教えてくれる」と話していた。