大規模な改装工事が終了したBC プレース(777 Pacific Blvd., Vancouver)で10月2日、プロサッカーチームVancouver Whitecaps FCがPortland Timbersと対戦した。新スタジアムでの勝利に地元の大きな期待がかかったが、惜しくも1対0で破れた。
当日は、両チームともにMLS(メジャーリーグ・サッカー)に昇格して1年目。以前からのライバル同士での戦い、新しくなったホームでの試合とあって、選手や監督、スタッフに加えて会場に詰め掛けた2万1000人の観客も応援に、より一層力が入った。
フェイスブックやネット掲示板などでの「なるべく大勢で集合して、一緒にスタジアムまで行進して行こう」という同チームの応援団「Southsiders」の呼び掛けに応じた熱心なファンらは、応援ソングを高らかに歌いながら、選手たちの似顔絵をデザインした横断幕やチームロゴの旗を掲げて意気揚々と会場入りした。会場周辺では、無料フェースペイントやゲームコーナーを設け、チームマスコットの「Spike」が集まった子どもたちと一緒に写真撮影したり、直筆サインを手渡したりする姿も。
試合開始前には、5億6,300万カナダドルという巨額の工事費を投じて完成した開閉式の屋根が開けられ、中央部分に広がった100メートル×85メートルの空間から外の光が差し込むと、集まった観客から感嘆の声が上がった。スタジアム中心上部には、20.7メートル×11.6メートルのHD大画面(42インチTV450台分)を設置し、試合の進行状況がはっきりと見えるようになっている。各座席の幅も今までよりゆとりを持たせ、最大で5万5000人が収容可能。プロフットボールチームBC Lionsのホームスタジアムも兼ねており、9月30日に行われた試合では5万人のファンが会場を埋め尽くした。
「完成予想図を見たときに、とても大きな期待を抱いた。その予想をはるかに超える素晴らしいスタジアムができあがった」と喜ぶBob Lenarduzziホワイトキャップス社長。ポートランドのJohn Spencer監督は「とてもユニークな構造で、芝もトップコンディションだと思う。会場内のファンの雰囲気も良くて戦いやすかった」と振り返る。
今シーズンも残り4試合となり、現在、4勝16敗10分で西カンファレンス最下位のホワイトキャップス。「最高の環境が整った新しいスタジアムをホームとして戦えるようになったが、試合内容はがっかりするもので思ったようにゲームを運べずイライラした。単純なプレーミスで相手に得点されてしまう状況をどうにかしなければ。チーム内にエネルギーが不足している」と硬い表情で会場を後にした。