バンクーバーを拠点とするNPO環境団体「Canopy」(1726 Commercial Drive, Vancouver)が4月2日、ファッションブランド「H&M」と「Zara/Inditex」が同団体の森林保護活動「Fashion Loved by Forest」に協力すると発表した。これまでに参加の意思を示している「Loomstate」「EILEEN FISHER」「Quiksilver」など20社とともに活動に加わることになる。
今回の発表に基づき、希少で危機的状態にある、生態学的に重要など総合的に保護すべき森林(Endangered Forest)とされている森から伐採していない材料を使ったレーヨンやビスコースを自社商品に用いることを決定した2社。材料の供給元をはっきりさせることで、衣料品の生産によって、森林や生態系、気候変動に与える影響を最低限に抑えることを目指す。
同団体理事のNicole Rycroftさんは「衣料業界の代表ともいえるブランドが、ファッションのために地球を犠牲にしてはいけないということを示そうとしている。流行の発信源となっている2社がさらに一歩踏み込んだ森林保護活動に参加してくれることになり大変うれしい」とコメントする。
「私たちは、保護されるべき森林に確実な未来を残すために重要な役割を果たしたいと考えている。今後3年間で材料の供給元を明らかにすることに最善を尽くしていく」とするH&Mサステナビリティー部門のHenrik Lampaマネジャー。「今回の活動を通じて、自社内だけでなく関連会社のリーダーをはじめ多くの人たちが環境保護を考えるきっかけをつくり、洋服のリサイクル、エコ材料を使った商品を開発するなど、さらに多くの活動につながっていくことを期待する」とも。
レーヨンやビスコース、モダールなどの植物性の素材はパルプを原料として作られている。同団体の調査によると、昨年、生地製造のために7000万本の木が伐採されており、その数は今後20年で倍増すると予想されている。中でも、インドネシアの熱帯雨林やカナダの北方林などの木を伐採し原料を供給している割合が増加しているため、至急、何らかの対策を講じる必要性を訴えている。