手すき和紙と墨のアート-バンクーバーでアーティスト原博史さん作品展

原博史さんの和紙に墨を用いたアート作品展「Washi –Ink Works of Hiroshi Hara」 が4月25日まで開催されている。

原博史さんの和紙に墨を用いたアート作品展「Washi –Ink Works of Hiroshi Hara」 が4月25日まで開催されている。

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 バンクーバーのアート・ギャラリー「Art Beatus Consultancy Ltd」(108 - 808 Nelson Street, Vancouver TEL 604-688-2633 )で、日本で活躍するアーティスト原博史さんの和紙に墨を用いたアート作品展「Washi –Ink Works of Hiroshi Hara」 が開催されている。

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 作品は約12点。原さん自身がすいた和紙に青墨を使って描いた作品は「みぞれ」や「炎」などの自然現象を表現する作品が多い。オープニング当日は、日本から原さんが出席、大勢の人が集まり、原さんに作品の質問を投げかけながら、日本独自の美しいアートを鑑賞していた。海外ではヨーロッパでグループ展を開いたが、個展としてはカナダが初。

 作品は、素材である和紙の美しさを生かし、水を使用し透明な筆跡でリズミカルに線を描いてから、墨を重ね濃淡が施されることで初めて筆跡が浮かび上がるよう仕上げる。来場者の一人は「和紙に墨で絵が描いてあると思って会場に来たら、描き方に特徴があると知った。今までに見たことがない独特のスタイルで驚いた」と話す。色彩を用いずに抑えた表現で思索的で瞑想的な作品を目指す。「冬至・春分」と名付けられたびょうぶサイズ(185×180センチ)の大型作品は、後ろから墨を浸透させる方法をとり、約2カ月間かけて作品を仕上げた。

 「和紙には『素』の美しさがあり、光を迎え入れ内に『散光』し柔らかい空間を演出する。和紙そのものが表現者であり、自分は和紙とコラボレーションしている。和紙の性質によって作品も違う表情をみせる」と話す原さん。

 幼少時代は四国の手すき和紙作業場の隣に住んでいたことや、父親が製紙会社へ転職したことなど、「今考えてみると常に『紙』と触れ合っていた」という原さんはコウゾ、麻や竹など身近にある自然原料を用い和紙を制作する。長い歴史の中ではぐくまれた和紙と、誕生させた先人への敬意と感謝を忘れずに作品を描く。「エコロジカルな生活スタイルの重要性が見直されている現代、自然のものを使用することで『絵』以外のものに対しても人間と自然との共生が大事ということを共感してほしい」と訴える。

 同ギャラリーは、中国の現代美術を中心に、アジア人アーティストの展覧会を開催している。ギャラリーアシスタントの糀畑朱見(こうじはた あけみ)さんは、「日本の人はギャラリーというと、入りにくいイメージがあるようだが、遊びに来る感覚で大勢の人に気軽にアートを楽しんでほしい。原さんの作品を見て日本に帰ったような温かい雰囲気を感じてもらえれば」と話す。

 開場時間は、月曜~金曜10時~18時。 土曜・日曜休館。4月25日まで。

Art Beatus

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