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バンクーバー国際映画祭で「大村植物標本」 須藤なつ美監督も来加

「大村植物標本」の須藤なつ美監督

「大村植物標本」の須藤なつ美監督

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 今年も盛況のうちに閉幕した「第34回バンクーバー国際映画祭」で、短編映画「大村植物標本」が上映された須藤なつ美監督が、作品について語った。

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 「PFF(ぴあフィルムフェスティバル)アワード2015」「イメージフォーラム・フェスティバル2015」で入選し、アジア作品部門プログラマーのトニー・レインズさんの目に留まった同作品は、長崎県大村市の「スナメリの詩プロジェクト」の一環として制作したもの。

 同プロジェクトは、「大村の魅力を地元と外部の若者視点で再発見すること」を目的としたもので、須藤監督は、死んだ祖父が残した植物標本を頼りに、会ったことのない祖父の影を求めて、大村の山の中に分け入り、祖父が見たはずの植物を探し歩く主人公の少女チズが体験し、感じた世界描いた。監督自身で、約1週間かけて現地の山を歩いてロケハンを行い、実際に採取した植物で標本を作って撮影に使用したという。

 今回の製作を通して「映画を作るためには、常に人と関わっていかなければいけないということを改めて感じた」と振り返る須藤監督。「地元の人たちには、ロケハンから撮影に必要な備品の調達だけでなく、エキストラとしても出演してもらうなど、本当に何から何までお世話になった」と感謝し、「街の魅力を伝えるという外へ向かっての地域活性化とともに、地域の人同士のつながりが深まるなど、街の中での活性化にも貢献できでいればうれしい」と話す。

 初めての海外での上映については、「観客の皆さんが、ちょっとした場面で大きな声を出して笑ったりするリアルな反応を肌で感じることができた」と喜びつつ、観客との質疑応答を通して「作品の中で、もっと何かしらはっきりした問題提起をする必要性を感じた」とも。作品の大きなテーマとして「個体として生きる人間と、種(しゅ)として長い時間をかけて生きている植物を対比させたかった」という監督だが、観客からは「現代の日本の親子関係の疎遠さを伝えたかったのか」「ぐるぐる回っていた植物はどういう意味か」など、予想外の質問も多かったため、「自分が伝えたい部分がうまく伝わっていないところが多かった。もうちょっとていねいに作って行かないといけないと思った。まだまだこれから勉強が必要」と反省する。

 「こだわればこだわるほど作業は多くなるが、とことん突き詰めてやれる。未知数の部分が多い」のが映画作りの魅力とする須藤監督。「パルプフィクション」のタランティーノ監督に憧れ、「とにかく伝え方がうまい。彼のように見ている人に気持ちをうまく伝えられるようになりたい」と今後の抱負を語る。

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