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リッチモンドで83歳アーティストが初の個展 色彩あふれる世界観

現在83歳のアーティスト、ピエール・ヴァスーラさん

現在83歳のアーティスト、ピエール・ヴァスーラさん

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 バンクーバー郊外にあるリッチモンド・アートギャラリー(7700 Minoru Gate, Richmond、TEL 604-247-8300)で現在、83歳のアーティスト、ピエール・ヴァスーラさんの初の個展が開催されている。

「何点作ったか覚えていない」と言う大量の作品から約2割を展示

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 「New Work 1983 - 2018」と題された今回の個展は、ヴァスーラさんが約30年間自宅で制作し続けた絵画、陶器や木を使った像、人形群などさまざまな作品が展示されている。イタリアからの移民のヴァスーラさんは長年陶器製造業に従事。定年退職後、自分が本来作りたかったアートの製作に本格的に着手した。その情熱とアイデアは尽きることを知らず、毎日自宅スタジオで作品を作り続けた。数百点にも及ぶ作品は、ほぼ人目に触れる機会もなく今日まで自宅を埋め尽くしていた。

 数年前に娘の勧めでホームページを制作。地域のギャラリーに作品の写真を送ったところ、バンクーバーのキュレーター、エリ・ボーノウスキー さんとジョナサン・ミドルトンさんの目に留まり今回の個展が実現した。鮮やかな色を使い左右対称な構図を多く用いる作品、細かい描写で埋め尽くされている作品は人々の目を引きつけ、どこか懐かしいような表情を見せる人形が温かい表情で来場者を迎える。

 作品の多くは「イソップ物語」、「デカメロン」、ダンテの「新曲」など古典のストーリーから題材を得たもの。「ストーリーには人々の生活、知恵、教えなどいろいろなものが詰まっている。長く残るストーリーからは現代の人々が学べることも数多くある」と話す。

 イタリアで生まれ、陶器職人としてフランスやスイス、イスラエルなど世界各地で働いた経験から「自分はイタリア出身の世界人」と話し、「アートは人間を表すもの。その楽しさを感じるのに出身国は関係ない」とさまざまなバックグラウンドの人が訪れる同ギャラリーでの開催を喜ぶ。

 ヴァスーラさんは「携帯やコンピューターの中の世界に囲まれている現代の人たちが、人の手で時間をかけて作られた昔から伝わるストーリーやアート作品を目にして何か感じて楽しんでもらえれば。人生に彩を感じてもらえたら」と期待する。「最近少しペースは落ちているが今後も制作し続ける」と笑顔で話す。「それが生きる意味だから」とも。

 ギャラリーの開館時間は月曜~金曜=10時~18時。土曜・日曜=10時~17時。入館無料。1月20日まで。

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