現在開催中のバンクーバー国際映画祭でDavis Guggenheim監督のドキュメンタリー映画「Waiting for “Superman”」が2度上映され、チケット完売の好評を得た。
同作品はアメリカの公立学校の問題点、学力低下、中退者の増加を実在の5家庭を追いながらつづるドキュメンタリー。アメリカ国内の公立中、高校の中退者は年間120万人、先進国30カ国中の算数の成績は25位。中退や低学力の子どもの多くは低所得者層が住むエリア出身者が多いため以前は環境が原因と考えられていたが、作品では地域の教育の低下が低所得者層を生む一因でもあるとし、教師の質や終身雇用制度など学校教育の問題を探る。
ニューヨークのHarlem Children’s Zoneプレジデント、Geoffrey Canadaさんはハーレムの子どもたちの高校と大学の卒業率を上げる活動を行っている。作品では「待っていてもスーパーマンは助けに来てくれない。教師、親、大人たちがヒーローになって子どもたちを救わなければ」とCanadaさんらが新しい公立学校作りに取り組む姿を追う。同時に実際、学力向上の成果の出ている公立学校に子どもを入学させたいと希望をつなぐ5家族とその子どもたちの姿も追う。
会場には多くの教育関係者、高校生も多く来場。観客の女性は「カナダとアメリカで違いはあるが、カナダでも教育費の削減などにより教師の人数が減るなど小学生を持つ母として問題は多いと思い見に来た」と話す。
Guggenheim監督はサイトで「以前は不可能かに見えた改革だが、熱意のある教師たちによって、ニューヨークの問題のある地域でも少しずつ変化が起こっている。実在する子どもたちの姿を追ったのは、この子たちの可能性を実感し、地域の教育改革を考える人が増えるのではと思った」とコメントしている。公式サイトでは「映画を見る」のテキストリンクのクリック数により学校施設に寄付をするキャンペーンも行っている。