ダウンタウンにあるスカイトレインのバラード駅前で3月31日、「バンクーバー桜祭り」のキックオフイベントとして無料コンサート「Cherry Jam Downtown」が開かれ、大勢の人たちが足を止めて演奏に聴き入った。
昨年は、2月の冬季オリンピック開催中に桜が咲き始めて話題となったバンクーバー。今年は、数日前から徐々に気温が上がり、桜祭りの開催に合わせたかのように一気に開花。会場周辺の桜並木をバックに、昼休みのビジネスマンや観光客らが写真を撮りながらコンサートを楽しんだ。
メンバーが思い思いのピンク色のコスチュームに身を包んだコミュニティーバンド「Carnival Band」は、にぎやかな演奏で会場を盛り上げ、カナダ西海岸のFirst Nations(先住民)スコーミッシュ族の伝統的なパフォーマンスグループ「Spakwus Slulum(Eagle Song Dancers)」は、先祖への祈りをささげる歌と踊りを披露。初めての試みとして、地元の和太鼓グループ「ちび太鼓」とのコラボ演奏を行い、集まった観客から大きな拍手を浴びた。カナダと中国、南米、アイルランドのフォークソングを融合したデュオ「Jou Tou」の演奏が続き、多国籍文化の集まるバンクーバーを象徴するコンサートとなった。
今回の演奏を楽しみにしていたという「ちび太鼓」のDaynaさん(13)は「全く演奏スタイルの異なるFirst Nationsの人たちと一緒にステージに立つのは不思議な感じだったが、とても楽しかった。バンクーバーでしかできない貴重な体験ができた」と笑顔を見せる。
同フェスの運営責任者Linda Pooleさんは「最高の天気で最高のパフォーマーたちが集まったコンサートを開催できてうれしい日だが、今、美しくバンクーバーの街を彩ってくれている桜を最初に寄贈してくれた日本が地震や津波の被害で苦しい状況にあることを思うと、手放しには喜べない気持ちがある」と表情を曇らせたが、「毎年美しく花を咲かせる桜を見ていると、『Renewal』『Reborn』という言葉が浮かぶ。日本もこの桜のようにきっと『再生』『復活』できるはず」と力強いメッセージを送る。
同フェスでは、さまざまな桜をテーマにしたイベントがバンクーバー市内各所で4月22日まで続く。