
バンクーバーの観光名所グランビルアイランド内にある酒造所「酒工房 Artisan Sake Maker」(1339 Railspur Alley、Vancouver、TEL 604-685-7253)は、オープン1周年を翌日に控えた1月15日、オープン以来初めて純米酒の仕込み作業を公開した。
日本の最高級酒米(さかまい)とBC(British Columbiaブリティッシュ・コロンビア)州のわき水を使って作られたカナダ産の日本酒「OSAKE」は、オープン直後、バンクーバーだけでなくカナダ全土のメディアに登場し、「2008 Vancouver Magazine International Wine Competition」では、「Rich White Wine」部門で入賞するなど、その認知度は高い。今回のイベントでは、モントリオールから日帰りで祝いに駆けつけた招待客もいた。
今回公開された作業は、1年間で1,000ケース(=12,000本)を出荷するうち、今年最初の仕込み。「三段仕込み」のうちの最終段階「留(とめ)」を終えた酒母(もと)をナイロン製の酒袋(さかぶくろ)に詰めて、「船」と呼ばれる大きなタンクに移して圧搾する過程で、作業を手伝うために集まったボランティアの人が息を合わせて、10キログラム入りの袋を80個詰めあげた。
敷地面積800平方メートルの店内は、招待客やメディア関係者であふれた。酒かすを使ったアペタイザーやデザートなどと併せ、にごり酒とヨーグルト飲料、ストロベリー・リキュールで出来たカクテル「Sake Strawberry Breeze」や搾りたての清酒が振る舞われ、和やかな雰囲気の中でオーナーの白木まささんが作業過程について説明。集まった客の中で希望する人に作業を実際に体験してもらう場面もあった。
「これだけの狭い敷地内で、酒造りを行うのには技術面でも設計面でもかなりの苦労があった。カナダの食文化に日本酒を浸透させるために日々努力してきた。メディアにも数多く取り上げられたことと合わせて、グランビルアイランドという場所柄、日本人のお客さんよりもむしろヨーロッパ系やアメリカ人のお客さんが多いようだ。ようやく日本から輸入された『Their Sake』からカナダ産の『Our Sake』というイメージが確立しつつある」と話す白木さん。「作業を手伝いたいと言ってくれるボランティアの人が大勢いてくれるのがとてもありがたい。これからは酒造りを彼らのような次の世代に伝えていくのが私の役目だと思う」と抱負を語った。
この日に仕込みが終わった酒は約3週間後に商品として店頭に並ぶ予定。