バンクーバーのスカイトレイン内とウオーターフロント駅構内に11月10日、突然、口ひげを付けた集団が現れ、乗客らの注目を浴びた。
スリラーダンス・フラッシュモブやノーパンツ・フラッシュモブなど、「Stand up and play!」を合言葉に掲げて、毎回趣向を凝らしたイベントを企画するグループ「Vancouver Improv Anywhere」がフェイスブックで呼び掛けて実現した今回の「Movember Flashmob(モベンバー・口ひげフラッシュモブ)」。コスチューム店などで各自調達した、いろいろな形の口ひげをたくわえた参加者12人は、ブロードウェイ駅に集合。当日の流れを確認して、スカイトレインに乗り込んだ。
移動中の車内では、いきなり乗ってきた「口ひげ集団」にけげんな顔をする人、苦笑いしながら見て見ぬふりをする人、自分のひげと見比べて「おそろいだね」と笑顔でハイタッチしていく人、「何の罰ゲームをしてるの」と質問してくる人などリアクションはさまざま。一行は、整列して構内を歩き回った後、スカイトレインやシーバスなどから降りてくる乗客らを一列に並んで出迎えるなど、ポーカーフェースを保ちつつ、通り過ぎる人の反応を楽しんだ。
同グループの代表を務めるLarry Picheさんは「口ひげを生やした男性が街中にあふれる月に合わせて、今回初めて計画した。参加者は思ったより少なかったが、多くの人たちを笑顔にすることができたし、『Movember』についても考えるきっかけができたと思う」とイベントの成果に満足した様子。フラッシュモブに参加したバンクーバー在住のJojoさんは、「最初は、皆の視線が気になったが、友人と一緒に参加できてとても楽しかった」と話す。
「Movember」とは、ひげの俗称「Mo」と11月の「November」を組み合わせたネーミングで、男性特有のがんに対する認知度向上を目的として、11月中に口ひげを伸ばすチャリティー運動。2003年にオーストラリアで始まり、現在ではイギリス、アメリカ、アイルランド、ニュージーランドと世界中に広がっている。バンクーバー市内では、「モベンバー月間」限定で、いろいろな口ひげの形をデコレーションしたクッキーやチョコレートを販売して売り上げの一部を同キャンペーンに寄付するベーカリーや、今月末に「ひげそりイベント」を企画するレストランなど、認知度が徐々に高まっている。