インド版「巨人の星」でクールジャパン戦略実現-講談社担当者がバンクーバーで講演

講談社国際事業局担当部長の古賀義章さん

講談社国際事業局担当部長の古賀義章さん

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 インド版「巨人の星」(印題「スーラジ・ザ・ライジング・スター」)の放映を企画・実現した、「クーリエ・ジャポン」創刊編集長で、講談社国際事業局担当部長の古賀義章さんが8月26日、バンクーバーのコースト・プラザホテル(1763 Comox St, Vancouver)で講演した。

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 放映実現までには社内のバックアップだけでなく、資金調達のための協力企業を得るのも困難で、まさに四面楚歌(そか)の状況を乗り越えた紆余(うよ)曲折の道のりだった。スポンサーを得るためにはメディアを使って「秋を『めど』に放映」、スポンサーは存在していなかったが「スポンサーを『選定している』」と言葉を選び、放映を「既成事実化」し、後戻りできない状況で制作に立ち向かった。

 「日印国交樹立60周年」というタイミングも企画を後押しする結果となったが、制作面でもさまざまな困難が立ちはだかった。アニメをそのまま輸出するのではなく、日印共同制作で原案のイメージを崩さないように、インドの文化を尊重し、ローカライズしてリメークしたインド版「巨人の星:スーラジ・ザ・ライジング・スター」では野球をインドの国技である「クリケット」に、ちゃぶ台返しは食べ物のない「テーブル返し」、「大リーグボール養成ギプス」は自転車の「タイヤチューブ」、酒はNG、スカート丈は長くするなど変更された。こうして大胆なリメーク、ローカライゼーションされた同アニメは700チャンネルもあるインドで週18時間放映され、0.2%ほどの視聴率と、まずまず健闘している。

 インドは公用語が20言語あり、人口が12億以上。若年層が約半数を占めるなどアニメ市場にとっては魅力的な国だ。クリケットの世界人口は約20億人ともいわれる。「現在はヒンズー語で放映しているが、タミール語、ベンガル語など多言語化していきたい」とし、「バンクーバーでもパンジャビ語圏の人口が多いことから見て、インドをベースにカナダや他国でも放映していきたい」(古賀さん)と話す。

 周りから「夢物語」と笑われたインド版「巨人の星」企画・制作は古賀さんの情熱と根性で実現した。「食、ファッションなど日本の文化は今後ますます外に出て行く時代。日本の企業と共に実現したい」。古賀さんは「思い込んだら試練の道はゆくが男のど根性~」と一説をあらためて紹介して講演を締めくくり、会場後方では日系のコーラスグループが主題歌を熱唱した。

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