バンクーバー美術館(750 Hornby St. Vancouver TEL 604-662-4700)で5月31日、ノースバンクーバー出身のアーティスト、ダグラス・クープランドさんの個展が始まり、美術館前には人々にガムの貼り付けを呼び掛ける作品「ガムヘッド」も置かれ通行人の注目を集めている。
「Everywhere is anywhere is anything is everything」と題した今回の個展。100点以上の作品を6つのセクションに分けクープランドさんの世界観を追う。展示はレゴでつくられたユートピアとディストピア、911以降の世界、社会を表す標語ポスター、小さな模型やおもちゃなどの雑貨コレクション類など多岐にわたる。美術館チーフキュレーターのDaina Augaitusさんは「インターネット時代の前と後、カナダという国の以前の姿とこれからの姿など、われわれの世界を鋭い視点で洞察し表現している」と説明する。
「Brain」と題されたセククションでは「右脳」と「左脳」に分けたクープランドさんの頭の中で起こっている事柄と自分を構成するものを5000のアイテムで表現。これまでに訪ねた場所の地名や風景、アート作品などに混じり日本で過ごした1950年代の思い出として座椅子を置いた畳の部屋も一角を占める。クープランドさんは「これは繰り返し見る夢の風景で、日本での暑い夏の日に畳の部屋で物を書きながらうつらうつらしていた自分」と解説する。
同館前には高さ7フィートの巨大な自身の頭部像「ガムヘッド(gumhead)」を設置。クープランドさんは「これまでパブリックアートを作成してきて、(落書きやガムなど)作品にダメージを与える行為に悩まされたり考えるところもあった」とし、今作品では人々にチューインガムを貼りつけることを呼び掛ける。「人々に参加してもらい、どのように破壊されていくのかを見てみたい。皆がガムを自分の頭のどこに貼るのかも楽しみ。鼻くそがつくのか角が生えるのか」と期待を寄せる。
オープニングに参加したRobertson バンクーバー市長は「ガムをかみながらスピーチするのは初めて」と笑いながらあいさつし、最初の参加者として口から取り出したガムを迷いながらも目に貼り付け楽しんだ。公開後はあっと言う間に多くのガムが貼りつけられた像前では記念撮影をする人の姿も多く見られた。
開館時間は10時~17時(火曜のみ21時まで)。入館料は、一般=20カナダドル、シニア(65歳以上)と学生(身分証明書の提示が必要)=15カナダドル、子ども(5歳以上)=6カナダドル、5歳以下は無料。日曜のみ12歳以下は無料。9月1日まで。