バンクーバー市は2月、市で進めている震災対策の一環として日本製耐震水道管の試験的設置を一部地域で開始した。
今回試用されるのはクボタ製の耐震ダクタイル・アイロンパイプ(商品名 GENEX)。パイプの接合部分が伸縮、屈曲するため、地盤の振動や変動にも鎖のように動き対応し、破損せずに耐えられる構造となっている。
バンクーバー市の水道・電気局ディレクター、Brian Croweさんは「災害の際に、飲料用や防火に必要な水を緊急に確保するということは市民の命を守る意味で最重要課題の一つ。今回交換した水道管は約100年前に設置のもの。市では通常は耐用年数が過ぎた物から交換しているが、正式な使用が決まれば病院のある地域や地盤の弱い地域などから順に交換していくことになるだろう」と話す。
「ダクタイル・アイロンのパイプは、日本でその強度と耐震効果が証明済みの水道管。(地震が予測される)西海岸の地域で広く使用するのが理想だが、コストの関係で全てを(日本からの)輸入製品に頼ることが難しいのも現状」と北米での生産の可能性にも期待を懸ける。
設置の際、来加し技術指導にあたったクボタのパイプシステム事業部・原毅史さんによると「現在、日本国内では約9割の水道管が耐震使用となっており、うち6割ほどはクボタの製品」とし、「アメリカでもロサンゼルスの各地域で設置が進んでおり、ポートランド、シアトルなどでも採用の検討を進めている」と、西海岸地域での耐震水道管への関心の高さを話す。