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自主制作の長編時代劇「仁光の受難」、バンクーバー国際映画祭で観客魅了

「仁光の受難」(写真提供=VIFF)

「仁光の受難」(写真提供=VIFF)

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 現在開催中の「バンクーバー国際映画祭」で、日本映画「仁光の受難」が連日チケット完売の好評につき追加上映された。上映に合わせ来加した庭月野議啓監督が作品への思いを語った。

「仁光の受難」の庭月野議啓監督

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 僧でありながら、どこに行っても女性を引き寄せてしまうという仁光の苦難を描く同作。美しい日本の風景が広がる映像と、僧侶を主人公とした時代劇に浮世絵とアニメーションを挟みながらコミカルタッチで語る怪談は、自主制作ながらも高い完成度で映画祭の観客を魅了した。

 クラウドファンディングでの資金集めなどを経て完成まで4年を費やした。「撮影自体は最初の1年で終わっていたが、アニメーションの挿入や編集を終えるのに時間が掛かった。良い風景をたくさん入れたかったので日本全国にも撮りに行った。予算の関係で時間が掛かったとはいえ納得がいくまで仕上げることができ、その間にVFXのスキルもかなり上達したと思う」と満足気に笑顔を見せた。

 「日本各地に残る『怪談』を意識した」というストーリーには、「どんなにあらがい続けても人間が道を誤る瞬間とは『致し方ない』という、ささいなきっかけの場合が多いのではないか、というメッセージを込めた」と話す。 

 九州芸術工科大学(現九州大学芸術工学部)でデザインやCGの制作を学んだ庭月野監督。在学中から物語を作りたいという希望があり映像制作の道に。「子どものころから漫画家やゲーム作家、そして作家になりたいという夢もあったほど物語を作るのが好きだった。在学中に映像作品を撮った際に多くの人から良い評価をもらい、映画を作る楽しさを知った」とこの世界に入ったきっかけを振り返る。 

 初の海外映画祭だが、「制作当初から日本人だけをターゲットにしたくはない、という思いがあった。時代劇と怪談をテーマにしたのも海外の観客を意識したからなので、バンクーバー、釜山とも国際映画祭への出品が決まった時は本当にうれしかった」と喜びの表情を見せる。

 同作品はバンクーバーの後、韓国の釜山国際映画祭でも上映する。

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