道頓堀プロレスとAll Star Wrestling(オールスターレスリング、ASW)が、バンクーバーのScottish Cultural Centre(8886 Hudson St., Vancouver)で10月14日に開催したプロレスの東西対決「East Meets West」。会場には地元のプロレスファンをはじめ、はるばる日本から飛んできた応援団など約200人が詰め掛けて、リング上で展開する選手たちの攻防を見守った。
道頓堀プロレスから参戦したのは、空牙(くうが)選手、ラ・ピート選手、めでタイガーマスク選手、TORU選手、大久保寛人選手、織部克己選手、金龍(キンロン)選手、菅沼修選手の8人。ASWから出場したハリケーン・アダム・ライダー選手、ソルティ・ザ・シーマン選手、“TKO”コーディー・スミス選手、ニック・プライス選手、ザ・カウント選手、ザ・グレート・カサキ選手、コブラ・カイ選手、バンビ、ケニー・ラッシュ選手、Mr. Jackedニック・ロジャース選手の10人と共に、交流戦とタイトルマッチを行った。
試合中は、日本選手を挑発するようなジェスチャーをしながら英語で畳みかけるASWの選手に対して、「アイ・キャント・スピーク・イングリッシュ!」と返したTORU選手のカタカナ英語に笑いが起こったり、「あいつが自分の髪の毛を引っ張った」と言って、スキンヘッドの選手がレフェリーに抗議してブーイングの嵐が起こったりするなど、リングと会場が一体となって盛り上がった。当日は、空牙選手のデビュー21周年の翌日ということで、試合前には花束贈呈のサプライズも。
唯一の女性選手としてバンビ選手が第3試合のリングに上がると、対戦相手チームのザ・カウント選手がリングアナウンサーのマイクを奪い取り、「トランプが今度選挙に勝ったら、こいつはこのリングには上がれない。ここは男の世界だ」とマイクを取ってまくし立て、最近の政治情勢も取り入れた演出で観客をあおった。選手たちは、観客が履いていた靴を借りた「臭い靴攻撃」などで笑いを取りつつも、「片エビ固め」や「垂直落下式ブレーンバスター」「ムーンサルトプレス」「ダイビングダブルニー」「ブロックバスター」「ジャーマンスープレックス」などの技を次々と繰り出して、観客からは感嘆の声が上がった。
「空牙さんが道頓堀プロレスを立ち上げてから3年。初めての海外遠征だったので、どうしても応援に来たかった。天気がいまひとつだったが、試合をしっかりと見届けることができたのでよかった」と喜ぶのは、2泊4日の強行軍で奈良から来たという空牙ファン歴7年のななさん。リング上に選手たちが登場し、名前が紹介されると、道頓堀プロレスの各選手の衣装の色に合わせた紙テープを投げた。初めて見る日本式の応援に、会場からは大きな拍手が起こった。ななさんは「日本式の応援に慣れていない現地スタッフが、どのタイミングでリングに広がった紙テープを片付けたらいいか戸惑いながらも必死で巻き取っている様子がなんともかわいらしかった」と笑顔を見せる。
友人と観戦に来ていたDylanさんは「自分がまだ小さかった時に、父と一緒に見に行ったプロレスで初めて空牙を見たことがある。今でも変わらず頑張っている姿が見られて、うれしかった。また戻ってきてほしい」、Lindsayさんは「日本の選手たちの技がとてもシャープで、動きも素早かった。試合スタイルが違う日本とカナダの選手がチームを組んで戦うのがとても面白かった」と話す。
空牙選手は「10年ぶりのバンクーバーはとても懐かしく、若い選手たちを連れてくるという夢が実現できて本当に良かった。昔の自分のことを知っていて、今はプロレスをやっているというカナダの選手にも会えて感動している。これからももっと盛り上げていって、年に1回程度のペースで海外興行ができるようになれば」と今後の抱負を語る。