桜の木の下で再会する姉妹-絵本「桜の木」挿絵原画展始まる

「桜の木」、絵カレン・ブラウンリー、「家族決断の日」2006年。作家提供。

「桜の木」、絵カレン・ブラウンリー、「家族決断の日」2006年。作家提供。

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 ナショナル日系博物館・ヘリテージセンターで、挿絵画家カレン・ブラウンリー(Karen Brownlee)さんによる絵本「The Cherry Tree(桜の木)」の原画展が開催されている。昨年6月に出版された同書は、2008年「アルバータ州出版社Children's Book of the Year(児童文学賞)」にノミネートされている。

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 会場では、「写真花嫁時代」といわれる(約1880年~1920年)から1940年ごろのロウアー・メインランド(バンクーバー市周辺地域一帯)の日系コミュニティーを水彩画で演出した19点の原画を展示する。

 20世紀初頭、より豊かな生活をさせたいと願う父親が3人の娘を仙台からカナダへ「写真花嫁」として移民させる。日本の思い出にと持ってきた桜の木の種が、離れてしまった姉妹を再会させるという物語。

 約30年のキャリアを持つブラウンリーさんはLethbridge大学でブラシ・ペイントの画法技術、ラオスと中国の専門家より墨絵画法を習得、歴史をテーマに活躍する画家。アルバータ州南部の日系コミュニティーと長年友好関係にある。「この時代の日系の歴史を語れる専門家ではない」というブラウンリーさんは、日系女性の生活や時代を理解するため広範囲にわたり研究し、主に「写真花嫁」としてカナダに移住した母親を持つタナカ・トシコさん、ニシヤ・レイコさんが語った歴史、アルバム写真などを元に原画を描いた。

 「私にとって絵とは描くこと、昔とは異なる視点を持つ現代の子どもたちに分かりやすくできるだけ正確な歴史的イメージを届けることの組み合わせ」と話すブラウンリーさん。当時の自然色の着物や菊や桜の花の色も子どもたちが物語により魅力を感じるように実際より明るくカラフルに表現した。

 「同書の挿絵を描くことはとても光栄で名誉なこと。私の友人たちの話しが挿絵に織り込まれている。彼らの話しがビジュアル・アートを通してたくさんの人に伝われば」と今回の展覧会の意図を話す。

 23日(19時~)にはブラウンリーさんによるアーティスト・トーク、24日(14時~)にはブラウンリーさんによるギャラリー・ツアーと絵本「桜の木」の紹介を予定。作家のカロリン・マックタイ(Carolyn McTighe)さんを招待したサイン会とレセプションも行われる。今月30日まで。

 「写真花嫁」とは写真の交換だけで日本から結婚するためにカナダに渡った花嫁たちのこと。

Karen Brownleeナショナル日系博物館・ヘリテージセンター

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