バンクーバーの多目的ホール「The Western Front」（303 East 8th Ave., Vancouver、TEL 604-876-9346）で11月2日、Coastal Jazz & Blues Society主催のコンサート「Larry Ochs Sax & Drumming Core」が開かれる。ゲストとして日本人ピアニスト藤井郷子（さとこ）さんとトランペット奏者の田村夏樹さんが参加。10月28日からサンディエゴ、ロサンゼルスなど北米6カ所を回るツアーの最終公演となる。

　サクソホン奏者Larry Ochsさんをリーダーとして、サンフランシスコ・ベイエリアで活躍するDonald Robinsonさん、Scott Amendolaさんのドラマー2人とともに2000年に結成された同トリオの音楽は、アメリカとヨーロッパ東部のブルースや、アジア、アフリカの伝統的な音楽の要素を融合させた新しい響きを持つ。

　藤井さんの演奏スタイルは、「音楽の境界を打ち破るピアニスト」「刺激的で独特な音楽」とアメリカで評され、田村さんの広大な音域を駆使した豊富な音色とのバランスの取れた演奏が高い評価を受けている。

　今回の演奏曲は「いわゆる『ジャズ』とはちょっと違う。ラリーのオリジナル曲ばかりで、演奏者の即興による自由な表現を委ねている楽曲が多い」（藤井さん）という。「中には黒澤明監督に捧げた曲もあり、音がまるでセリフのように聞こえる部分があり、とても面白い。『音』そのものを楽しんでもらいたい」とも。

　バンクーバーの印象について、「以前も演奏したことがあるが、聴衆の温かさを感じる。私たちのような比較的アバンギャルドな表現をする音楽家にとっては、メッカの一つともいえる文化的な街」と話す藤井さん。「6月のジャズフェスに引き続いてのライブなので、またバンクーバーで演奏できるのがとてもうれしい。ぜひ足を運んで楽しんでほしい」と来場を呼びかける。

　開演時間は20時。チケットは、大人＝20カナダドル、学生・シニア＝15カナダドル。Jazz Hotline（TEL 604-872-5200）またはHighlife Records（1317 Commercial Dr., Vancouver）で販売する。12月中旬には、藤井さんと田村さんのライブが千葉、愛知、東京で予定されている。