毎年5月から9月までアラスカ行きのクルーズ船が寄航するバンクーバーの港「Canada Place」(999 Canada Place, Vancouver)で、今シーズンから「Shore Power(陸上電力)」を停泊中の船舶に利用するシステムを取り入れることになった。同システムの導入はカナダ初、世界でも3番目となる。
船内のディーゼル補助エンジンによる電力供給を陸上からの電力供給に切り替えることで、船舶からの排出ガスを大幅に削減することが可能になり、大気汚染を減少させることにつながる。停泊中エンジンを止めることによる騒音低減、港湾周辺労働者の労働環境向上にも期待できるという。
同港はカナダ最大の港湾組織Port Metro Vancouverが管轄。同港関連の雇用はカナダ全土で13万人以上に及ぶほか、2008年には延べ254隻のクルーズ船が寄航することにより、85万人以上がバンクーバーを訪れ、計5億カナダドル以上の経済効果をもたらした。
Kevin Falconブリティッシュ・コロンビア州国土交通大臣は「(今回の新システム導入により)バンクーバーの空気がきれいになり、より一層住みやすい都市になる。政府が掲げている『温室効果ガスを2020年までに現在の3分の1に削減する』という目標達成にも貢献できる」と話す。
同システムを利用できる設備を備えた船舶は、同港に寄航するクルーズ船のうちHolland America Line社とPrincess Cruises社の船舶のみ。アムステルダム号(4月26日)、ゴールデン・プリンセス号(5月5日)の寄航を皮切りに今年のクルーズシーズンが始まる。