少女漫画の歴史と変化を追った企画展「少女漫画・ガールパワー!」のオープニングレセプションが9月19日、日系ヘリテイジセンター内「ナショナル日系ミュージアム」(6688Southoaks, Crescent, Burnaby)で開かれた。
同展は、カリフォルニア大学チーコ校芸術学部美術教育学科の徳雅美準教授が、日本国際交流基金の協力を得て行っている巡回展示会。2年間かけて、カリフォルニア、ニューメキシコ、ニューヨークなど8カ所を巡り、バンクーバーは北米ツアー最終地となる。
会場では、戦後から現代に至るまでの60年余り、少女漫画の発展に最も功績を残した、日本を代表する手塚治虫、石ノ森章太郎、美内すずえ、里中満智子、竹宮惠子ら23人の漫画家の原画、複製原画を含め200点余りの作品を、戦後~60年代、60年代~80年代、80年代~現代の3つの時代に区切って公開。少女漫画の歴史を追って見ることができる。
オープニングでは、徳雅美さんによる展示会の紹介、日本、北米における漫画の現状などの講義、日本からゲストとして招かれた漫画家、竹宮惠子さんの少女漫画を描くことになったきっかけ、少女漫画が社会的に受け入れられていった経過や変化など、自身の体験を交えてのスピーチが行われた。会場に設けた100席がほぼ満席になるなど、漫画に対する興味の高さをうかがえた。
徳さんは、日米の子どもたちの描画(美意識)の発達論比較研究などを進める中で、日本の子どもが漫画から受ける影響に興味を持ち、北米における日本の漫画の特徴とその影響を研究している。「少女漫画にスポットをあてて、漫画の多様性を紹介したい。ツアーを通して、漫画のパワー、社会的地位を理解してほしい」と展示の意図を語っている。
筑摩書房の編集者である藤本由香里さんは「少女漫画は、女性や社会の変化を先取りしていると思う。数ある漫画の展示の中でも、その歴史を追って紹介した展示は、これが始めてではないか」と話す。反響の大きさから、来年1月からの日本ツアー実施も決まっている。
展示は11月9日まで。
徳雅美 Dr. Masami Toku, California State University, Chico(「少女漫画プロジェクト」サイト参照)