バンクーバーを訪問中の天皇皇后陛下は7月13日、ブリティッシュ・コロンビア大学を視察後、日系のシニアホーム、コミュニティー会館である日系プレース、ナショナル・ヘリテージセンター(6688 Southoaks Crescent, Burnaby)を訪問した。
センター外の正面玄関前には2時間前から日系をはじめとする市民ら300人以上が集まり、両陛下の到着を待ちわびた。センターにはグラッドストーン日本語学園や習い事に通う子どもたちも多いことから子連れの家族の姿が目立った。
ロビーでは日系コミュニティーの招待客120人が両陛下と接見、あいさつを交わした。Japanese and Canadian War Memorial Societyの代表、ナンシー・カトウさんは「大勢の日系人が戦争に従事して亡くなったことを忘れないために、毎年11月11日に追悼式を行っていると話したところ、両陛下は『忘れないことは大事。とても重要な役目ですね』と応えてくれた。戦争で亡くなった叔父と祖父がいたら、今日、両陛下にお会いして追悼式のことを亡くなった方のためにお伝えしたわたしをきっと誇りに思ってくれるはず」と振り返る。
グラッドストーン日本語学園では生徒らが「崖の上のポニョ」の歌で両陛下を歓迎し、スペシャルイベントホールでは日系プレース内のホームに住むシニア100人が両陛下と接見。両陛下は多くの方に話し掛け、皇后陛下は「座って、座って下さい」と立って待ち続けていたお年寄りに何度も優しい声を掛けた。両陛下がイベントホールを立ち去った後、移民して長い年月をカナダで暮らしてきたシニアの多くが目頭を押さえ静かに涙をふき取る光景が見られた。