緻密に計算されたデジタルアート展-サレー・アートギャラリー10周年で

サレー・アートギャラリーで池田亮二さんの展示会「data.tron/data.scan」が開かれている。(写真提供:YCAM、撮影:Ryuichi Maruo)

サレー・アートギャラリーで池田亮二さんの展示会「data.tron/data.scan」が開かれている。(写真提供:YCAM、撮影:Ryuichi Maruo)

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 サレー・アートギャラリー(13750-88 Avenue, Surrey、TEL 604-501-5566)で日本人アーティスト池田亮二さんの展示会「data.tron/data.scan(データ・トロン/データ・スキャン)」が開催されている。同ギャラリーのデジタルアート部門10周年を記念して企画された。

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 「一直線上にはいくつの点があるのか」「数字の中にある数とは何か」「ランダムなものが本当にランダムであるとどうやって実証できるか」という問いを身体的・数学的に探求した池田さんのアート・プロジェクト「detamatics(データマティックス)」の中から、「data.tron」と「data.scan」の2点を展示する。

 「data.tron」は、数学的原理によって緻密(ちみつ)に計算され、構成された膨大なデータの組み合わせから成るイメージを壁一面の巨大スクリーン(縦5.5メートル×横7.3メートル)に映し出すオーディオ・ビジュアル・インスタレーション。照明を落とした会場内には、ピッ、ピッという単調なハイピッチノイズが流れ、スクリーン上のモノトーン映像がそれに合わせて一時停止する。

 今回は、会場の中心に水平方向に置かれた小型スクリーン(縦50センチ×横30センチ)に映し出される断続的なイメージから成る作品「deta.scan」も併せて展示。同作品はカナダ初公開となる。

 人を取り巻く世界を、サイン波やピクセルという最小単位にまで突き詰めた「データ」としてとらえて再構成し、音と光の関係性を用いて全く別の世界を生み出して表現する池田さんの作品は、日本だけでなくアメリカ、イギリス、オランダ、イタリアなど世界中で高い評価を受けている。コンピューターとデジタルテクノロジーを駆使した現代電子音楽作曲家としても知られる。

 同展のキュレーターを務めるJordan Stromさんは「10周年という区切りの年にふさわしい、デジタルアートの世界で最先端を行くアーティストを探していた。Ryojiはまさにそれにぴったり」と話し、「0と1の間に広がる無限のデータで作られた壮大な『宇宙』を体感しに来てほしい」と来場を呼びかける。

 開館時間は、月曜・金曜=9時~17時、火曜~木曜=9時~21時、土曜=10時~17時、日曜=12時~17時。祝日休館。入場無料(寄付)。12月13日まで。

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