バンクーバー冬季五輪2日目となる2月13日、サイプレス・マウンテンで行われたフリースタイルスキー女子モーグル競技で、日本期待の上村愛子選手が4位入賞を果たした。五輪初出場となる19歳の村田愛里咲選手は8位と大健闘。前回のトリノに続けて2度目の五輪出場を果たした伊藤みき選手は12位、オリンピック出場5度目のベテラン里谷多英選手は、途中転倒のため19位に終わった。
当日、会場には、手作りのメッセージ入りシャツやよろいを模した衣装に身を包んだ多くの日本人ファンの姿が見られた。日本の国旗を振ったり、選手たちへのメッセージの寄せ書きをした横断幕を所狭しと掲げたりしながら、今人気の五輪グッズ「赤いミトン」を着けて応援する地元カナダ人サポーターたちに負けじと送る日本語での大きな声援は、強く降る雨や横風、霧という悪条件の中、レースに臨む日本代表選手らには心強いサポートとなった。
上村選手が所属する北野建設からは、総勢22人の社員が日本から応援に駆けつけた。「(上村選手は)この4年間、オリンピックでのメダルを目指して必死で頑張っていた。どうしてもメダルを取ることに注目が集まってしまうので、かなりのプレッシャーがかかっていたと思う」と話す同社員の新井栄一さん。「(プレッシャーに)耐え続けていくためには相当の強さを持っているはず。あとは精一杯力を出し尽くすだけ」と、同選手にエールを送った。
決勝レースでは、20人中16番目の滑走終了時点で2位に着けた上村選手だったが、カナダ代表のジェニファー・ハイル選手、最終滑走者の米代表ハナ・カーニー選手が好成績を記録。最後の最後でメダル獲得の可能性が消えた。その瞬間、会場には日本人ファンの落胆の声やため息が漏れた。感極まって、泣き崩れる女性ファンも。
レース後、上村選手は「自分らしい最高の滑りができたので満足している。今まで支えてくれてきた周りにいる多くの人たちのことを考えると、ちょっとくやしい」と思わず涙を流してしまう場面も。会場には多くの日本人ファンが最後まで残って同選手に拍手を送り、「お疲れさま!」と声をかけ、同選手は一人ひとりと握手をしたり、笑顔で「どうもありがとう」と答えて会場をあとにした。