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バンクーバー国際映画祭で「白昼のイカロス」上映-阿部・高橋両監督が来加

バンクーバー国際映画祭でドラゴン&タイガー賞にノミネートされた「白昼のイカロス」の阿部綾織監督(左)と高橋那月監督(右)。

バンクーバー国際映画祭でドラゴン&タイガー賞にノミネートされた「白昼のイカロス」の阿部綾織監督(左)と高橋那月監督(右)。

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 市内各所で開催中のバンクーバー国際映画祭(Vancouver International Film Festival)で日本映画「白昼のイカロス(英語題=Icarus Under the Sun)」が上映され、来加中の阿部綾織、高橋那月両監督が質疑応答に応じた。

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 同作品は両監督が東京造形大学油画科に在学中の2年前に共同生活しながら制作。2010年のぴあフィルムフェスティバルで審査員特別賞を受賞した。中卒で昼間の街が苦手な雀荘で働くハルヲと、脚が悪くコンプレックスを抱くアラン、視覚障害の元カメラマンで雀荘経営者マグチなど、どこか心に引け目を感じている人たちの交流を中心に描くストーリー。阿部監督が脚本、主演を高橋監督が撮影、編集を担当した。

 作品について阿部監督は「誰もが抱える欠損を人とのきずなで生める必要とはかなさを描いた。ハルヲとこの作品は自分の原点でもあるので、悔いのないものを作るためにも自分で演じようと決めた」と話す。高橋監督は「共同で生活していたので編集など家で納得いくまで話し合いながら作業ができた。2年前に撮った時はまさか海外の人に観てもらえるとは想像もしなかった」とも。「人との出会いを重ねいろいろなものを失った後に、ハルヲが昼間の街を戦いに挑むように走って行くラストシーンでは映画を見終わった人に希望を伝えたかった。後味の良い映画が好きなので…」(阿部監督)。

 現在までに同作品を入れて3作を共同制作し、次作の構想も進んでいる。高橋監督は「1作目はハンディカムで撮ったもの。それでも2人でシーンについて真面目に話し合っていた。撮影場所を決めるのにも交渉や許可の取り方などわからないことばかりで、今にして思えば恥ずかしい気もするがとても良い経験と思い出になっている」と当事を振り返る。資金集めやロケ場所探しなど2人で解決しながら撮った2作目の本作品がぴあフィルムフェスティバルやバンクーバー国際映画祭で上映され、今は「良い意味で子離れしたような気分」(高橋さん)と笑顔を見せる。

 惜しくも受賞は逃したが、同作品はアジア出身の新人監督に贈られる「ドラゴン&タイガー賞」にもノミネートされていた。ノミネート作品ということで注目度も高く、2回にわたる上映では地元の映画ファンからも活発な質問やコメントが出され、中には「主人公の成長がうかがわれるラストシーンは今回観た映画の中でも最も美しいシーンの一つだった」という感想を述べる観客もいた。

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