ニューヨークのウォール・ストリート占拠で始まり世界各地へ広がった、格差社会への抗議運動が10月15日にバンクーバーでも始まり、集会場所となったバンクーバー美術館前にはピーク時に約5000人が、それぞれの主張を記したプラカード片手に集まった。
「Occupy Vancouver(バンクーバーを占拠せよ)」は社会、経済、政治への変革を働きかける非暴力運動として、主にネット上で呼びかけられた。サイト上で主催者は「市民の1%に属する一部の企業幹部と富裕層が富とパワーを独占する」とし、「99%の(大半の)市民のために経済の公平性を求める」と主張し、多くの市民に参加を呼び掛ける。
10時の占拠開始前から集まり始めた参加者の人数は開始後間もなく約1000人に到達。主催者の発表ではピーク時には約5000人が集まった。多くの人が「99%の声を政府に届けよう」という経済格差と(富裕層に有利な)税率への不満を訴えるプラカードを持っていたが、教育費の高騰と失業率の増加への不満、環境破壊と開発への反対や、家畜の飼育環境の改善、中東問題など、さまざまな主張を訴えるグループも多く参加した。
占拠場には家族連れやシニア世代の参加も多く見られ、子どもがゲームや塗り絵を楽しめる「キッズ・ゾーン」、賛同者の寄付による飲み物や軽食を提供するテント、医療テントも設けられた。市内の通信会社に勤務する女性は「所得税の税率と住宅費の高騰に不満を持っているので来てみた。大手企業に勤めていても人員整理の解雇は頻繁にあり常に不安がある。平和的なデモで多くの人が訴え続ければ何かが変わるのでは」と期待を寄せる。
UBC卒業生のグループで参加したMathewさんとAileenさんは「大学を卒業したが就職が難しく、学生ローン5万ドルの返済が負担になっている。授業料、家賃、物価が上がっているのに、初任給が80年代からほとんど上がっていない企業も多い。大学を卒業しても自分の育った街で家も持てない社会はおかしい」と参加の理由を説明した。
主催者は引き続きサイトで参加者、寄付、協力を募り、ライブ中継やソーシャルメディアを通して参加者の主張と声を伝える。