サレー・アートギャラリー(3750-88 Avenue, Surrey、TEL: 604-501-5566)で1月12日より、「Forty-Part Motet(40声のモテット)」の展示が始まった。
同展の展示は、BC(ブリティッシュ・コロンビア)州では初で、National Gallery of Canada(カナダ国立美術館)の監修によるもの。これまでにMoMa(Museum of Modern Art in NY、ニューヨーク近代美術館)やイギリスのテート・ギャラリーなどでも展示され、人気を呼んだ。
モテットとは、12世紀から近代にかけて行われた教会合唱音楽のことをいう。会場内には40台のスピーカーが頭の高さほどの位置に楕円を描くように配置されており、来場者は一つひとつのスピーカーの前を通り過ぎながら個々のパートを聴き分けることができるだけでなく、会場の中心に立って聴くと、そのハーモニーの美しさに圧倒される。
11分の演奏に3分の休憩を挟み、14分ごとに繰り返される音楽は、彫刻的な展示でもあり、音のパフォーマンスとも言える。
作者のJanet Cardiffさんは、カナダの代表的な現代アーティストの1人。作品を作るにあたり、16世紀のイギリス人オルガン奏者Thomas Tallis(トーマス・タリス)が作曲した、現在までで最も複雑な多声合唱曲「Spem in Alium(我、汝の他に望みなし)」を歌うサリスベリー大聖堂合唱団の各メンバーの声を、個別に録音した。
ジャネットさんは「個別に分けられた声を自分の中で組み合わせることで音の中を『よじ登る』体験を可能にしたかった」と話し、「会場に入った人たちが、各スピーカーの間をどういう順序で通って行くかを見てみたい」と楽しみな様子も。
開館時間は、月曜・金曜=9時~17時、火曜~木曜=9時~21時、土曜=10時~17時、日曜=12時~17時。祝日は休み。3月23日まで開催予定。