1906年8月16日生まれ、現在105歳――99歳から毎年、世界1周講演旅行を続けている曻地三郎さんが、アフリカ・ケープタウンで行われる国際心理学会に参加する途中、バンクーバーに寄航し「長寿・健康の秘訣、幼児・障がい児教育」などについての特別講演を行った。
曻地さんは1954年、障がい児学校「しいのみ学園」を創設。著書「しいのみ学園」はベストセラーとなり、映画化。障がい児教育への法整備がなされていなかった当時、日本初の障がい児のための施設を舞台とした映画や曻地さんの活動は注目を集めた。文学博士、医学博士両方の博士号を持ち、脳反応力は30代と診断、100歳からはポルトガル語やフランス語の習得に努め、日本と世界中の学会や講演会に文字通り飛び回っている。
講演会には、赤いマントと黒のシルクハットで登場。黒田節も披露した。前日に福岡から成田、ロス・アンジェルス経由でバンクーバーに到着したばかりとは思えないほどの元気な姿を見せた。スライドで、自身の経歴と「長寿の秘訣(ひけつ)」、多くのメディアにも取り上げられている「10大習慣健康法」や3歳までに教える幼児・障がい児教育の一例として、牛乳パックやトイレットペーパーの芯など廃材から作る「手作りおもちゃ」を紹介しながらその大切さを語った。
10大習慣健康法の一つ、食事では「一口30回かむ」は子どものころから守っている母からの教え。「それを私は100年続けています」と曻地さんが普段から心がけているさまざまな健康法が実際に長寿、高齢者の「生き証人」として伝えられた。
進む高齢化。「これからはみんなが長寿」。昨年日本での100歳人口は47.750人となっている。「人生に余りなし」、現在も「1日1知」と多くを学ぶ曻地さんは、いかに高齢者が元気に生きるかの術に加え、「口は命の入り口」「良い義歯があれば何でもおいしく食べられる」と話し、現在、健康医療制度では義歯(上下)の医療費が7万円弱しか認められない状況も提議した。
今年で7回目となる世界1周旅行(9カ国、12都市を回る)を7月16日に開始した曻地さんは機中で106歳の誕生日を迎える予定で、ギネスの高齢者世界一周記録に挑戦している。ギネスに登録されることで「日本人の底力、医療レベルの高さをアピールしたい」と満面の笑顔を見せた。