バンクーバーの新フレンチベーカリー、連日盛況-ポイント制で寄付も

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 ダウンタウンへ向かうグランビル橋の南端に昨年12月21日オープンしたベーカリー・カフェ「Beaucoup Bakery & Cafe」(2150 Fir Street, Vancouver、TEL 604-732-4222)が、連日多くの客でにぎわっている。

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 同店オーナーは、子どものころ、図書館から本を借りてきては、家でお菓子作りをしていたというJackie Ellisさん。経営していたデザイン事務所を閉めてフランスへ渡り、本格的に菓子作りの勉強をして戻ってきた。店舗面積は900平方フィート、席数は16席。通りに面した一面の窓から自然光を取り込み、白と黒を基調に鮮やかなオレンジ色をアクセントにした明るい店内は、Jackieさん自身が友人のインテリアデザイナーPatty Kantymir Harschさんと一緒に内装を手掛けた。食器類もアンティークのマーケットなどに出掛けて時間をかけて集めたものを使用する。

 フランス語で「多くのもの」「たくさん」を意味する「beaucoup」。「(このベーカリーは)自分の生んだ子どものよう。夜中まで起きて準備したり、多くの時間と労力の全てを費やしたりして社会に送り出すのは大変だが、その分、喜びがもっと『たくさん』にもなって返ってくる。『多くの』喜びや感謝の気持ちを自分が作るお菓子を通じて感じ、『たくさん』の人たちに味わってもらいたい」という気持ちを込めて名付けた。

 偶然クレイグズリストで目に留まり、「写真で見るとぼろぼろで目も当てられないような建物に見えた」という物件だったが、実際に足を運んでみると「改装した後の自分の店のイメージがどんどん広がった」という。「どんな小さなことを決めるにも、緻密な計算に基づいて、気が済むまでリサーチをする。論理的で感情に流されることがほとんどない」と自分の性格を説明するJackieさん。今回のロケーションに決めるときも、建物の前で通行人や車両通行量を念入りに調べた。平日、週末にかかわらず、近くにあるグランビルアイランドに向かう観光客や、周辺オフィスで働くビジネスマン、近隣住宅地に住む地元客と、幅広い客層が期待できると確信した。

 オープン初日、開店時間前からできた行列を見て「びっくりしたと同時にうれしくて涙が出そうだった」と振り返るJackieさん。準備した商品全てが4時間で売り切れた。その後も、どんどん商品を増やして必死で対応しているが、日に日に忙しさは増すばかりで、「うれしい悲鳴を上げている状態。もっともっと作りたいけれど、量を増やすために商品の質を落とすわけにはいかないというジレンマと闘う毎日」という。

 「塩キャラメルエクレア」(5.50カナダドル)、「ピーナツバター・サンドイッチ・クッキー」(3.75カナダドル)、「パン・オ・ショコラ」(3.50カナダドル)など、フレンチスタイルのペーストリーやケーキ類と北米の家庭で親しまれている昔ながらの「食べると小さいころを思い出さずにはいられない」味を融合させた幅広い種類のお菓子を提供する。

 Jackieさんは「世界中を旅したことがあるお客さんから『今までどの国で食べたお菓子よりもおいしい。本場フランスの味も越えている』と喜んでもらえた」「中には1日に2回も来店してくれるお客さんもいる」と順調な滑り出しを喜び、「育ってきた食文化が異なるので、アジア人の味覚と西洋人の味覚の違いがあるのは明らか。自分のバックグラウンドでもあるアジアンテイストは、抹茶やクリ、小豆など、これから少しずつ様子を見て取り入れていきたい」とし、「常に自分自身が喜んで食べるものしか売らない」と自信を見せる。

 同店で行っているポイント制度「The Acts of Kindness Initiative(思いやりイニシアチブ)」では、リベリア共和国の少女たちを路上生活から救い、学校へ通えるようにするために活動している団体「More Than Me Foundation」への寄付も行っており、「お互いに助け合い、感謝の気持ちを表すことが大切。単においしいお菓子を楽しんでもらうだけでなく、そこからより多くの人たちを幸せにすることに貢献できれば」(Jackieさん)と参加を呼び掛ける。

 営業時間は、火曜~金曜=7時~18時、土曜・日曜=8時~17時。月曜定休。

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