2007年からカナダ産の日本酒を作り続けてきた、グランビルアイランド内にある酒造所「酒工房 Artisan Sake Maker」(1339 Railspur Alley、Vancouver、TEL 604-685-7253)は2月1日、カナダで初めてケグ入りの日本酒の提供を始めた。バンクーバーのケグ詰め専門店「FreshTAP」(55 Dunlevy, Vancouver、TEL 604-566-9423)との共同開発によるもの。
ガスタウンのレストラン「PiDGin」(350 Carrall Street, Vancouver、TEL 604-620-9400)のMakoto OnoシェフとBrandon Grossuttiオーナーが「ケグ入りビールやワインと同様に日本酒も出すことができないか」と、昨年夏、Artisan Sake Makerの白木正孝オーナーに相談を持ちかけたことがきっかけで、「Sake-on-Tap(ケグ入り日本酒)」プロジェクトが本格的に始動。
酸素に触れないようケグに密封することにより、最初の1杯から最後の1滴まで、出来たてのおいしさを維持することができるほか、ケグを再利用するため、ボトル詰めに要するラベルやコルク、箱詰めのための段ボールなどの費用が節約できるなど、白木さんが普段から提唱する「地球に優しい」「サステイナブル」「ハンドメード」の条件をクリアした。
1月15日に、計100リットル分の「Osake Junmai Nama」を、19.5リットル入りのステンレス製ケグ5本に詰めた。未開封の状態で、生酒としては5~6カ月冷蔵保存(4~5度)可能だという。
同レストランでは、2月1日のオープンから3週間で2本を消費し、すでに3本目を開封した。白木さんは「自分たちでボトル詰めして店頭販売しているものに比べて、悔しいけれど格段においしい。予想以上のスピードで売れている理由が分かる」と苦笑する。「Makotoさんが出しているオリジナルのフュージョン料理が日本酒にぴったり合っている」とも。
「ビジネスモデルとして『Wine-on-Tap』がかなり広まってきた。その流れに乗って日本酒をもっと広めていくアイデアの一つとして優れていると思う」と、今後のビジネス拡大の可能性に期待を寄せる白木さん。「4月には、酒造所でもこのケグを使って日本酒を提供できるよう、店内を改装する予定。よりフレッシュな状態で楽しんでもらえるように、ケグのサイズを10リットルくらいの小さめなもので作ってもらおうと考えている」と話す。
営業時間は、レストラン「PiDGin」=17時~24時(日曜は18時30分~)。酒造所「Artisan Sake Maker」=11時30分~18時。