Sheraton Vancouver Wall Centre Hotel（1088 Burrard St, Vancouver、TEL 604-331-1000）で2月17日、48階建て739段の階段を上るイベント「Climb the Wall: The Stairclimb for Clean Air」が行われた。BC Lung Association（ブリティッシュ・コロンビア州肺協会）の主催で、今年で7回目となる。

　500人以上の参加者の中には、約30キログラムの防火服やマスクで完全装備したBC州全土から集まった消防士が80人以上もいた。参加費は25カナダドルで、参加者それぞれが100カナダドル以上の寄付金を集めて参加。イベント当日までに、合計12万5,000カナダドルの寄付が集まった。

　同協会は、1900年に発足したカナダ最初のボランティア保健組織「カナダ肺協会」を母体とし、肺疾患に関する研究助成、教育、プロモーション活動を行う一方で、肺の健康な状態に悪影響を与える環境問題にも取り組んでいる。今回のイベントで集まった寄付金は、すべてこれらの活動の運営資金となる。

　ナナイモ市から前日フェリーでバンクーバー入りしたという消防士の1人は「このイベントに参加することで、自分たちがどれだけ普段のトレーニングを頑張っているかが分かる」と防火服を身に着けながら笑顔を見せた。

　メープルリッジ市のWhonnock Elementary（ウォノック小学校）から11人のグループで参加した7年生のJack Gardnerくんは「昨年初めて参加して7分49秒でゴールした。今日のために皆でトレーニングしてきたので、今年はそれよりも早い記録を出したい」とスタート前に抱負を語った。

　参加者の最高齢は83歳、最年少は6歳。一番速かったタイムは4分39秒だった。

　会場には「Tell us why you’re climbing!（今日階段を上っている理由を教えて！）」と書かれた大きなボードが設けられ、参加者が「おばあちゃんにタバコをやめてほしい。肺がんになってもらいたくないから」、「COPD（慢性閉塞性肺疾患）で12月に他界した父のために」などそれぞれの思いを書き込んだ。

　同協会のScott McDonald理事は「現在、BC州では環境保護に向けての努力がどんどん行われている。今年は、これまで以上に環境保護へ意識を高めるために、参加者に提供する賞品や記念品をリサイクル可能なものにしただけでなく、ERA（Ecosystem Restoration Associates）の協力を得て、カーボン・オフセット（炭素相殺）も試みた」と話し、「より多くの人が空気汚染やそれによって起こる肺の病気について理解を示せば示すほど、より美しい空気を守ろうとする社会の動きが活発になるはず」と呼びかける。

　同協会広報のKatrina van Bylandtさんは「ゴールまでたどり着いた参加者が、汗まみれで息を切らせていても満面の笑顔ですがすがしい表情をしているのを見ると、こちらまでいい気分にさせてもらえる」とうれしそうに語った。

　イベント会場となった場所は、高さ150メートルでBC州一高い建物。27階までは四つ星ホテルの客室、28～30階はClub Intrawestのリゾートクラブ、31階から上がコンドミニアムになっている。

BC Lung Association