暴力による被害女性や子どものための支援活動を行っている団体「Atira Women’s Society」が8月1日、郵送コンテナを再利用して建設した公営住宅(ソーシャルハウジング)を公開した。
カナダ初の試みとなるリサイクルコンテナを活用した公営住宅(3階建て、12戸)はホームレスや麻薬中毒者が集中するバンクーバー、ダウンタウンイーストサイドエリア(502 Alexander St. Vancouver)に建設。開発にはCanada Mortgage and Housing Corporation、BCハイドロ、バンクーバー市をはじめとするコミュニティー団体、企業が協賛した。
1戸ワンルームの面積は約7坪~8坪で、キッチン、バスルーム、ランドリーを標準完備。市の建築基準法を満たし、カーテンやランドリーなどを含む各ユニットの建設価格は8万2,500カナダドルとなり、同団体が最近建設したコンクリートビルディングの建設費用22万カナダドルを大きく下回り、想定市場販売価格は19万9,000カナダドルとなっている。12戸の内、6戸は同地区に根付き、問題を抱える若い女性たちのメンターとなることに興味があり、麻薬中毒者ではなく安定した55歳以上の女性へ375カナダドルの家賃で貸し、残りのユニットの家賃は収入に応じた適正な家賃で提供する。
同公営住宅は2010年冬季五輪時にBCハイドロが輸送コンテナ再利用プロジェクトのデモンストレーションでダウンタウンの同社前に建設したコンテナハウスが生かされたもので、その際、建設されたハウスも今回の開発に寄付され、それ以外のコンテナはバンクーバー港からブローカーを通して購入した。「輸送コンテナは特別な整備なしで10年~15年は利用されているが、適切なメンテナンスで半永久的に活用することができる。世界中に2400万個の使用されていないコンテナがあり、再利用は環境にも良く、建設費も抑えることができる」(Atire Woman’s Society代表のJanice Abbottさん)。
「(同開発プロジェクトに対しては)批判や反対があったにもかかわらず、強固な意志とビジョンでこの前例のない開発をやり遂げることができた。建物も各戸も想像を超える出来栄えとなり、プロジェクトの結果に大変、感激している」(同)。
同住宅には9月1日から入居可能となっている。