3月18日から開催されていた「バンクーバー・ファッションウィーク」で同22日、日本人デザイナー高橋悠史さんのブランド「Yuhshi Takahashi」がランウェーデビューを飾った。
同ブランドは「生が死へと進んでいく中での儚(はかな)さと脆(もろ)さ」(高橋さん)がテーマ。白と黒を基調とし、一見シンプルでありながら少しずつ質感の違う布を使用し、細かいドレープやひだなど細部のディテールにまでこだわったデザインの洋服が幻想的な世界観を作り出す。
ショーのために用意したのは16点10ルック。以前から作成してきた作品に数点新たなアイテムを追加して臨んだ。高橋さんは「ショーは選曲やヘアメークも全て自分で決めるので、やりがいもあり勉強になる」と話す。リハーサルで実際にフィッティングを行った際には「(海外なので)モデルさんの身長が想定より高かった」と素直な感想も。
高校卒業後ITグラフィック系の学校に進学した高橋さん。物を作り何かを表現する仕事に就きたいという漠然とした思いはあったが、「ある朝起きたらファッションデザイナーになろうと決意していた」と、ファッションの道へ進んだきっかけを話す。その後、アパレル関連で仕事をしながら資金を準備。文化服装学院の夜間コースで3年、昼間のコースで1年を費やし基礎からファッションデザインについて学んだ。
卒業後はアパレル企業でのパターンナーとしての仕事のかたわら、個人的に依頼を受けたドレスを制作して作品を作り続け、昨年「Yuhshi Takahashi」を設立。バンクーバー・ファッションウィークへの参加については「突然運営の方から声を掛けていただき本当に驚いたが、ブランドと自分の名前を広く知ってもらう良い機会と思い参加を決めた」
「ショーが初めてなだけでなく、実は海外も飛行機に乗るのも初めてだった。だから来る前はいろいろな面で不安もないわけではなかった」と笑顔で振り返る。ショーの後には「無事終わって良かった」と安堵(あんど)の笑顔を見せながらも、「これからなので」と今後のさらなる発展への決意を控えめに表した。