バンクーバーのダウンタウン東側にあるウッドランド公園で8 月16日、戦前に活躍した日系人野球チーム「バンクーバー朝日(Vancouver Asahi)」を記念する野球大会「Asahi Tribute Game 2014」が開催された。カナダ日系博物館とカーネギーコミュニティーセンターの共催で、今年で9回目。
戦前、人種差別や偏見に負けずに力強いフェアプレーを貫き通し活躍し、日系人以外の多くの人々からも応援を受けた「バンクーバー朝日」野球チーム。同野球大会は2006年以来、朝日チームへのトリビュート目的で開かれている。
例年は同チームがホームグラウンドとしていた旧日本人街のオッペンハイマー公園で開催しているが、今年は公園でデモ活動が行われているため同所に場所を移した。日系博物館を通じて参加登録した2チームと、公園近辺のバンクーバーイーストサイドチームの3チーム、約40人が参加。小学生からシニアまで幅広い年齢層の参加者たちが、和気あいあいとゲームを楽しんだ。
日系博物館スタッフのレイチェルさんは「かつて日系人が多く住んでいた場所で朝日のレガシーを語り継ぐのが目的。朝日について知っている人も今まで知らなかった人も、日系人も日系人以外も共に野球を楽しめるのも素晴らしいと思うので、これからも続けていきたい」と話した。
試合開始前の始球式に登板し、大会中もゲームを見守った同チームOBのケイ・上西さんは「これだけ時がたっても朝日を覚えてくれているのは本当にありがたい」とし「こうやって皆で一緒に野球を楽しめるのは素晴らしい。見ているだけで自分も楽しい気持ちになれる」と好プレーに拍手を送りながらグラウンドを見つめた。
現在はカムループス在住の上西さんは「この辺りに来ると多くの日系人が住んでいた当時を思い出す。街では日本語で生活が足り、日本の物は何でもそろっていた」と懐かしみ、「自分もオッペンハイマー公園でプレーする朝日の選手を見て育ち、いつかチームに入りたいと憧れていた。まさか本当に選手になれて、この年になっても朝日のおかげで多くの人と出会えるとは思ってもいなかった」と当時を振り返り笑顔を見せた。