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バンクーバー国際映画祭で日本映画「食卓」上映 リアルな家族関係描く

俳優の渡部直也さん(左)と小松監督

俳優の渡部直也さん(左)と小松監督

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 現在開催中のバンクーバー国際映画祭で「ぴあフィルムフェスティバル2016」グランプリ受賞作品「食卓(英題Out of the Frying Pan)」が上映され、小松孝監督と出演俳優の渡部直也さんが来加した。

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 日々食事は別々で会話もなく暮らす父親とニートで詩人の息子。父親が新しい妻を迎えいったんは家族で囲むようになった食卓だったが、次第にフライパンアートが所狭しと並ぶ場所へと変わっていってしまう。家族であるからこその失望と冷めた感情がリアルに伝わる内容で、上映後は「ドキッとした」との感想も聞かれた。

 大学在学中に映画を作り始め、学生時代には9本製作したという小松監督。映画会社を作ろうとデイトレードで資金を増やすも破たん。以後10年はフリーランスで映像制作の仕事などをこなしたが映画は撮っていなかった。「そろそろ作らないと」との思いから10年ぶりに撮った同作品は「ぴあフィルムフェスティバル2016」でグランプリを受賞した。

 作品の構想は「ニートの詩人」からスタート。「自分もフリーランスだしニートのようなところもある。父はアルコール依存症なので母を中心に家庭が回っている。もし、母がいなくなったらまず父と会話や食事はしないだろうな、と思ったところからストーリーを考え、コミュニケーションが無くなった家族の成れの果てを描いた」。タイトルとなった「食卓」とは「一家団らんの象徴のような場所。そこが(映画の中では)違う目的で使われてしまう」と説明する。

 大学の映画サークル時代から小松監督の作品に俳優として出演している渡部さんは、今回の役作りを「以前から小松監督の姿を投影した役が得意だった。元来明るい性格なのだが、あの家であの環境に入り(住んでいる)小松さんになると、自然とあの表情になれた」と笑顔で振り返った。

 復帰作がグランプリ受賞、海外出品と注目を浴びた小松監督。今後は「地下アイドルの『BELLRING少女ハート』を応援しているので、地下アイドルやその周辺を題材にした作品を作りたいと考えている」と意気込みを話す。

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