バンクーバー国際空港近くのリッチモンド市立図書館前(7700 Minoru Gate, Richmond)で12月9日、キリスト教、仏教、ユダヤ教、イスラム教などの宗教家らが米次期大統領トランプ氏当選後に市内で配布されたヘイトビラに抗議の意を示す「反差別集会」を開き、雪の中約60人の市民が参加した。
先月リッチモンド市内の住宅に配布されたビラは中国系の移民を批判し、白人住民にアメリカの右翼団体への支持を呼び掛ける内容。アメリカではトランプ次期大統領が選挙に勝利して以来、有色人種への差別行為が多数発生しており、アジア系への差別も起こっているという。
この日の集会では市内14の宗教団体の代表者らが「多様性がコミュニティーにもたらす恩恵」や「多様な社会の素晴らしさ」を話し「われわれを憎しみで分断しようとしている行為もあるが今こそ一致団結して乗り切ろう」などと呼び掛けた。
集会の発起人でRichmond Presbyterian ChurchのVictor Kim牧師は「集会を呼び掛けたのは『沈黙』せずに声を上げてもらいたいと感じたため。リッチモンドの多くの人は宗教や人種にかかわらず共に生き、移民を歓迎している。われわれの社会に不安を投げ掛けるこのような行為は黙認できなかった」と集会の意義を話す。
リッチモンド市は戦前には日系移民も多く住み、現在でもアジア系移民が多い地区。Kim牧師は「(この集会は)アジア系移民だけでなく、白人や非アジア系住民からも多くの支持を受けている」と話す。集会に参加した白人女性は「リッチモンド、そしてカナダの多様性は世界に誇れる素晴らしい社会。子どもたちの未来のためにも守りたい」と話した。
現在、リッチモンド警察署はビラの出どころを明らかにするための捜査をしており、情報提供を呼び掛けている。